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野槌

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第二章

「調査班に入っているんですか」
「伊藤先生八条大学出身だよね」
「はい、理工学部です」
 それで今は理科の教師をしている。
「そうですが」
「だからだよ」
「それで、ですか」
「あちらから是非にって話があってね」
「それで学年主任も私にお話してくれたんですね」
「実はね」 
 学年主任はここで事情を話した。
「そうした事情だけれど断るのなら別にいいけれど」
「いえ、八条大学からお話があったなら」
 出身大学への愛着は教師になって十年それも結婚して完全に大阪に定着してからもある、それならだった。
 涼子にも断るつもりはなかった、それでだった。
 学年主任に是非と答えてそうしてだった。
 彼女は教鞭を取っている中学校の最寄りの駅で八条大学から来た二人の調査員と落ち合った、その二人はというと。 
 どちらも女性だった、一人はおっとりとした外見で黒髪を肩まで伸ばした大人しそうな目鼻立ちでゆったりとした服装の涼子より五歳程若そうな女性だった。胸はかなり大きい。
「茅野友香です」
 見事なブロンドの髪の毛をロールをかけたうえで癖をつけて伸ばしている、顔立ちは吊り目がかなり気が強そうで勝気な感じがするが細表で整っている、長身でズボンがよく似合っている。
「芳野小百合よ」
 二人共名乗った、見れば早百合の年齢は友香と同じ位かと思った。ここで友香の方から言ってきた。
「私達は八条大学の生物研究所から派遣されました」
「そこで勤務しています」
「所謂研究員ということで」
「今回は調査班として派遣されました」
「伊藤涼子です」
 涼子もここで名乗った。
「八条大学出身であることはもう」
「はい、お聞きしています」
「その縁で今回の調査の協力をお願いされたことも」
「そうですか。では早速ですね」
「はい、ツチノコの調査を」
「それに入りましょう」
 友香と小百合もすぐに応えてだった、そのうえで。
 三人で近くの喫茶店に入って打ち合わせを行った、そこで涼子は友香と小百合に首を傾げさせつつ話した。
「実は信じられないのですが」
「街中にツチノコが出るとはですね」
「蛇もあまりいません」
 大阪市の中にはとだ、涼子は友香に答えた。
「それがツチノコとは」
「ああした未確認動物がですね」
「街中に出るとは」
 とてもというのだ。
「考えられませんが」
「しかしです、目撃談ではです」 
 小百合が涼子に答えた、真面目な声であった。
「この大阪市阿倍野区においてです」
「見たとですか」
「言われています」
「まさかと思いますが」
 例えツチノコが実在するにしてもとだ、涼子は小百合にこう返した。
「そのことは」
「そうですね、しかし」
「目撃談ではですね」
「そうしたものなので」 
 だからだというのだ。
「私達も調査員として派遣されました」
「そうですか」
「確かにこちらでも都市部にツチノコがいるとは考えていません」
 普通の実在が確認されている蛇達と同じくだ、
「そのことは」
「そうですか、やはり」
「それでも公園等なら」 
 ここでこう言った小百合だった。
「有り得ますね」
「そう考えてです」
「調査に派遣されたのですか」
「そうです」
「ではすぐにです」
 友香も言ってきた。 
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