八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十三話 最後のお素麺その十
「このことについては」
「畑中さんもそう思われますか」
「先程剣道のお話が出ましたが」
「そういえば剣道も」
「そうした主張が言われていまして」
剣道の起源もだ、日本刀まで起源が違うとかもう何でも言った者勝ちじゃないかとも思える。
「困っています」
「剣道をやっておられる人も」
「はい、剣道の起源は深く長い歴史があります」
「それ専門の本もあって」
「かなりの種類もあり学問にもなっています」
「そこまで深くてはっきりしてますね」
「起源は諸説もありますが」
それでもというのだ。
「日本にあります」
「間違いなく日本のものですね」
「日本の剣道のそれは」
「そうですよね、起源とか言っても」
「それは嘘ですね」
「嘘は嘘です。ですが」
ここでこうも言った畑中さんだった。
「私も最初は違う考えでしたが」
「といいますと」
「違うと言わないとです」
そうしなければというのだ。
「世界には間違った情報が伝わります」
「嘘がそのままですね」
「真実となります」
「真実は言わずともとはいかないのですね」
「残念ながら」
そうだというのだ。
「真実は真実と主張しないとです」
「真実にならないですか」
「真実は一つですが」
これは紛れもない事実だが、というのだ。
「ですがそれでもです」
「真実だと言わないと、ですか」
「真実とは知られないのです」
「嘘が真実だと思われるのですね」
「そうしたものです」
「難しいですね」
「嘘吐きはいるわ」
友奈さんがここでこう言ってきた。
「世の中には」
「そうした嘘を言う人も」
「そう、平気で嘘を言う人も」
「そういえばいるね」
平気で嘘を言える人間はだ、中等部の時にいてその結果皆から総スカンを喰らっていたとんでもない嫌われ者だった。
「そうした人も」
「嘘を言って騙して」
「それで平気な人がね」
「そうした人間相手には」
「事実を言うことだね」
「そう、それでも嘘を言うけれど」
嘘に嘘を重ねてだ、文字通りに。
「それでも真実をちゃんと言えばね」
「嘘はばれてだね」
「嘘を言った方が負けるわ」
「そうなるんだね」
「そうなる為にも」
「言うべきよ」
真実、それをというのだ。
「畑中さんが言われる様に」
「実際にだね」
「真実も本当にね」
「言ってこそ」
「真実になるから」
「言わなくても真実はやがて明らかになるってね」
「日本では言うわね」
「うん」
その通りだとだ、僕は答えた。
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