夢幻水滸伝
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第五十一話 東国からの使者その十一
「麻理佳ちゃんにお願いしたいけど」
「線路とか駅とかも含めて」
「鉄道全般のことをな」
まさにというのだ。
「お願い出来るやろか」
「わかりました」
麻理佳は綾乃に確かな顔で答えた。
「では鉄道のことも」
「お願いするわ」
「その様に」
「そういうことで頼むわ、確かに鉄道もな」
「大事ですね」
「あれがあるとちゃうし」
こう太宰に話した。
「それはうちにもわかるわ」
「はい、鉄道があれば」
まさにとだ、太宰はその綾乃に話した。
「多くの人やものを迅速に移動させられます」
「馬とかよりもな」
「ですから」
「鉄道もやね」
「考えていきましょう」
是非にと言うのだった。
「そして実際にです」
「線路を敷いて駅ももうけて」
「列車を走らせましょう」
「アメリカみたいにやね」
「この世界の産業革命はあの国で起こっています」
「そこ全然違うね」
玲子は腕を組み太宰に言った、政には関わらない彼女であるが朝議には参加していてそれで言うこともあるのだ。
「あたし達の世界と」
「そうです、私達の世界ではイギリスから起こっていますが」
「こっちの世界じゃそれはだね」
「アメリカで起こっています、そして技術全般は」
産業革命に関連するものだけでなくだ。
「アジア太平洋の方が欧州よりも上です」
「そうなんだね」
「それもかなり」
「それは産業革命前の状況でおじゃるな」
夏目は太宰のその話を聞いてこう言った。
「前から思っていたでおじゃるが」
「その通りですね」
「こっちの世界ではでおじゃるな」
「産業革命がアメリカで起き」
そしてというのだ。
「日本も中国も南洋もです」
「欧州に比べて技術が高いでおじゃるな」
「あちらは中世の趣が強く残っています」
こちらの世界の欧州はというのだ。
「技術面においても、鉄砲や大砲はありますが」
「それでもでおじゃるな」
「やはり中世の趣が強く」
「技術的には」
「我々の方が上です」
「そうでおじゃるか」
「全般的に、そして話を戻しますが」
太宰はあらためて話をした。
「鉄道はまことにいいものなので」
「日本全土にやね」
「敷こうと考えています」
「国鉄やね」
綾乃は自分達の世界ではもうないこの企業を出して言った。
「それを造るんやね」
「はい、しかも日本だけの国鉄ではなく」
「太平洋全土のやね」
「そこまで考えています」
「でかいこと考えてるんやね」
「いえ、鉄道はその一部です」
太宰は太平洋全土に線路を敷いて鉄道を走らせる自分の構想に驚く綾乃に落ち着いた声で返した。
「船や空船も入れた」
「あらゆる交通をやねんね」
「含めた政を考えています」
「そやねんね」
「太平洋は海ですから」
「ああ、そやから」
「船、そして浮島も多いので」
このこともあってというのだ。
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