夢幻水滸伝
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第五十一話 東国からの使者その十
「そうなるな」
「まあそうやな」
「彼女が来ますと」
喜久子はその小さなフェアリーの身体で言ってきた。
「緊張しますね」
「ほんまにのう、そうなるわ」
「何かな」
中里もここで綾乃に言った。
「いよいよ大きな動きになってきたな」
「そやね、日本統一に向かって」
「最後の決戦ちゅうかな」
「どっちが統一するかの段階のな」
「戦になっても外交になっても」
「そのことを進める時になってきたわ」
「こうなってはだ」
室生が中里と綾乃に話した。
「我々としてはだ」
「どうしてもやね」
「統一だ」
それを目指すべきだというのだ。
「必ずな」
「そうすべきやな」
「兵は東国との境に順調に向かっているが」
「二十万の兵がな」
中里が応えた。
「そうしてる、しかしな」
「若しもだ」
「集結前に東国が攻めてきたら」
「厄介なことになる」
その場合はとだ、室生はこの場合を危惧して話すのだった。
「戦力は集中してこそだからな」
「それだがや、二十万の兵は北陸と東海におるだがや」
坂口が言ってきた。
「しかしまだ国境にはおらんだがや」
「そこに達するまで一週間だな」
「それ位だがや」
「その一週間の間にだ」
「仕掛けてくればぎゃ」
「危うい」
室生は腕を組み危惧する顔で語った。
「その時はな」
「兵の移動を急がせますか」
こう言ったのは滝沢だった。
「今以上に」
「その方がいいぜよ」
正岡は滝沢のその意見に賛成の意を述べた。
「若し今攻められたらこっちが危ういぜよ」
「はい、ですから」
「今のうちにのう」
「兵を集結させるべきかと」
「そやな、出来るだけ早く転移の術なりで行かせるか」
芥川も二人の言葉を受け入れて頷いた。
「そうしてくか」
「では」
「今以上に急がせてや」
そしてとだ、芥川は滝沢に答えた。
「東国との境に集結や」
「そうさせましょう」
「是非な」
こう話してだ、そのうえで。
関西の軍勢は朝議で二十万の兵の移動を術を使ってても急がせることにした、そしてここで太宰がこうしたことを言った。
「軍勢だけでなく民の行き来の便の為にも」
「道をやね」
「整えていくべきですね」
こう綾乃に話した。
「これまでもしていましたが」
「これまで以上にやね」
「的確にかつ高度な技術を使い」
そうしてというのだ。
「進めていきましょう、アメリカでは既に鉄道も導入していますが」
「鉄道もやね」
「技術を出来るだけ早く取り入れて」
そうしてというのだ、
「線路も敷きましょう」
「ほなここは」
綾乃は建築士であり関西の建設等を受け持っている麻理佳に顔を向けて彼女に声をかけた。
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