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夢幻水滸伝

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第五十一話 東国からの使者その九

「戦力にはなるわ」
「そやな、この連中もな」
「戦力ではある」
「やっぱりおるとおらんでちゃう」
「そういうことやな」
「何か酷い言われ方ちゃいます?」
 瑠璃子は自分達について話す瑠璃子に微妙な顔になって返した。
「うち等」
「そう思うか?」
「思いますけど」
「確かにそう言うてる」
 中里も否定しなかった、そうした言い方であることは。
「自分達にはな」
「うわ、やっぱりそうですか」
「うち等傷付きましたわ」
「これはボーナス貰わんと心が癒されません」
 由香と紗枝、雅美は中里の言葉にこう返した。
「そやからどうぞ」
「ボーナス下さい」
「それで遊んできますから」
「そんなこと言うからこっちも言うとわからんか?」
 芥川は四人にむっとした顔で返した。
「アホかってな」
「そうなります?」
「そこでそのまま返してくれませんの」
「ほなボーナスって」
「これまでの働き通りに」
「全く思わんわ」
 芥川の返しの調子は変わらなかった、それも全く。
「何一つとしてな」
「姫巫女さんは優しいのに」
「芥川さんは厳しいですわ」
「宰相さんはもっと厳しいですし」
「難儀なことですわ」
「難儀も何もそんなこと言うなら働くんや」
 話はそれからだというのだ。
「自分等は暇さえあったら怠けるからな」
「英気養ってるんです」
「寝て遊んで」
「それでいざって時は働きます」
「やる時はやりますで」
「そうか、ほな内政の時は喜久子ちゃんが監督になってや」
 新たに治安担当となった彼女がというのだ。
「太宰もおるし戦の時は僕が監督するからな」
「えっ、ほなさぼるなってことですか」
「いつも真面目に働けって」
「そう言うんですか」
「それ厳し過ぎますで」
「厳しいも何も当然や、とにかく自分等はこれからもうちの勢力におる」
 芥川は四人にあらためて話した。
「それなら民とこの世界の為働いてもらうで」
「それはわかりました」
「ほなやらせてもらいます」
「かなり激しい戦になっても」
「そうさせてもらいます」
 四人もこのことは約した、そうしてだった。 
 四人は正式に関西の所属となった、関西の勢力は戦力をより確かなものとしたのだった。そしてそのうえで。
 綾乃は中里、芥川と共に朝食を食べてそれから星の面々を集めて朝議を行った。朝議で話したのは内政のことになった。
 東国に対してどうするかだった、この時にだ。
 山本は真剣な顔でこう言った。
「軍師さんの読み通りだとじゃ」
「東国から来る使者がな」
「誰かじゃな」
「それや、流石に向こうの棟梁は来んやろが」
「星のモンが来るのう」
「その星のモン次第や」
 それでというのだ。
「相手の本気がわかるわ」
「九人の星のモンのうちでじゃな」
 山本は東国にいる星の者達の数も把握していた。
「誰が来るか」
「棟梁は来んでも天の星の人が来るわ」
 井伏は自分の読みを話した。
「そうなるわ」
「そうじゃな、というとじゃ」
「あの人じゃのう」
 井伏の猪の目が光った、それも鋭く。 
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