八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十二話 あと二日その十
「売れなくなったんだ」
「難儀な話でござるな」
「特に都会でね」
田舎はどうしても移動に車が必要だ、それで乗る人は多いというか一家に一台は必要な感じだ。
「多いんだ」
「そうした若い人が」
「それでね」
だからというのだ。
「バイクもね」
「売れてないでござるか」
「どうもね」
「困ったお話でござるな」
「そうだよね、バイクは危ないのは確かだけれど」
事故を起こせばそれこそ乗用車の時以上にだ、生身で外に出されるから死ぬことも多いのは事実だ。
「売れないのはね」
「困るでござるな」
「業界全体がね」
どうにもというのだ。
「やっぱりバイクも必要だしね」
「業界自体もでござるな」
「うん、そこで暮らしてる人も多いし」
つまり生計を立てている人がだ、自動車業界もこのことは同じだ。
「だからね」
「それで、でござるな」
「バイクも売れないと」
「では拙者が買えば」
「その分ね」
バイク業界の方もだ。
「助かるよ、まあバイクも車も安定した生活でないと」
「難しいでござるな」
「持つのがね」
「そうでござるな」
「どの国でもそうだよね」
「安定した生活でないと」
「ああしたものは持てないよ」
自転車とは違う、何もなくてものを買えて維持出来ることは無理だ。これはバイクや車に限ったことじゃない。
「何か格差社会格差社会でね」
「そうしたことを言う人もいるでござるか」
「親父が言うにはね」
ここでまた親父の名前が自然に出た。
「こうしたことを言う人こそ注意しろって言ってたよ」
「そうでござるか」
「うん、格差って言葉からわかるかって」
「それは」
「ほら、階級って言い換えられるね」
「そうでござるな」
「それでそう言う人達の経歴とか見れば」
これがまた凄いとだ、親父は僕に話してくれた。
「マルクス主義なんだ」
「そちらでござるか」
「日本にはね」
「まだマルクス主義者が多いでござるか」
「そうなんだ」
知識人やマスコミ関係者にだ、もうソ連が崩壊して二十数年経っているのに日本ではまだまだいるのだ。
「そうした人達が言っているから」
「要注意でござるか」
「こうした人達ってね」
親父は僕にこうも話してくれた。
「日本は孤立してるとか基地とか原発反対とか」
「言っているでござるか」
「意見が同じなんだよ」
本当に不思議なことにだ。
「皇室についても色々言うし」
「では何か傲慢な漫画家は」
「ああ、あの人ね」
僕はその漫画家が誰かわかった、昔ギャグ漫画を描いていた人だ。
「あの人もね」
「実は、でござるか」
「保守とか言ってるけれど」
その実はだ。
「違うね」
「それは嘘でござるか」
「だってね」
何故あの人が自分を真の保守と言っても信用出来ないかだ、もう随分と悪い方に変わったと思う。
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