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夢幻水滸伝

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第四十九話 軍師の傾きその一

               第四十九話  軍師の傾き
 最初に異変に気付いたのはこの時も芥川だった、彼は今まさに攻めようとしていた岐阜城が慌ただしいのに気付いた。
「?何かじゃ」
「師匠どうしました」
「何かありましたか」
 佐藤兄妹がすぐに自分達の忍術そしてお笑いの師匠でもある彼に問うた。
「一体」
「敵の方に」
「ああ、急に慌ただしくなってないか」
「?そういえば」
「確かに」
 兄妹も岐阜城の方を見て気付いた。
「夜目にです」
「何か見えてきました」
「あれは」
「巨人ですか?」
「みたいやな、しかしな」
 見ればだ、その巨人達がだった。
「尋常な数やないで」
「百、いえ二百ですか?」
「もっといませんか?」
「あれだけの数の巨人が一度に出るって」
「それはちょっと」
「ないわ、というかあんな数で出られたらや」
 災害そのものと言っていい巨人達がだ。
「尋常なことやないで防ぎきれんで」
「ですね、ここはです」
「私等も行かんと」
「とてもです」
「岐阜の街や周りの田畑は工場は守りきれませんで」
「あっちにおる戦力はわかりませんけど」
「それでも」
 二人も言う。
「東海北陸だけでは」
「あそこまでの数は」
「あそこにおるのはおおよそ二万や」
 それだけだというのだ。
「そして星の奴もおって二人か」
「二万の兵と二人の星では」
「地や人の星やと」
 そうした星達ではとだ、佐藤兄妹も言う。
「とてもです」
「凌ぎきれませんね」
「僕等の軍勢とな」
 三万のというのだ。
「そして星、特に僕がおるとな」
「神星の師匠がおったら」
「あれだけの数でも」
「十人位は一度にや」
 それこそというのだ。
「倒せるけどな」
「ほなここはどうしますか」
「あのままやと岐阜はえらいことになりますで」
「岐阜の街も民も田畑も」
「何もかも」
「そや、ここはや」
 まさにと言う芥川だった。
「非常時や、戦どころやない」
「ほなですな」
「今から」
「岐阜の方に言うで」
「よし来た」
 ここで九尾の狐が芥川の横にどろんと出て来て言ってきた。
「今から岐阜の方行こうか」
「使者として僕が行く」
「自分自らか」
「あっちの連中は敵やが話がわかる」
 相手の星の者達のことも話かっていての言葉だ。
「そやからや」
「ここはか」
「すぐに岐阜城に行くで」
「よし、乗れや」
 自分の背にとだ、狐は芥川の言葉を聞いてすぐに彼にこう声をかけた。 
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