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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五十話 沖縄でもその七

「それでなんです」
「誰も共産主義を信じなくて」
「過激派にもです」
「ならなかったのね」
「そうでした」
 それこそ共産主義が出て来てからだ。
「戦前から」
「戦前ね」
「はい、あの時から」
 本当に一人もいない。
「あの頃の共産主義っていったら」
「まあソ連の指示で動いてね」
 コミンテルンからのそれでだ、この頃のソ連は世界各国で共産主義による革命を目論んでいた。あのスターリンが。
「そうしてたわね」
「そのトップがあれでしたよね」
「スターリンよ」
「スターリンのこともです」
「伝わってたの」
「ある程度にしても」
 あと何でも夢野久作の死後の恋を読んでその時の一族の長老さんのお一人が仰天したとのことだ、ここから共産主義はとんでもないと言ったらしい。
「そうでして」
「だからなの」
「本当にです」
「共産主義はなの」
「誰もです」 
 一族の中ではだ。
「信じていませんでした」
「そうなのね」
「それで過激派も出ませんでした」
「よかったわね」
「うちの一族はじまって以来の不良は」
 それは誰かというと。
「うちの親父ですが」
「ああ、あの人ね」
「あの親父も共産主義者じゃないですから」
「むしろ嫌ってるとか」
「大嫌いですね」
 自分で僕に言っていた。
「ああした考えは」
「全体主義は」
「何かロベスピエールも嫌いだそうで」
 親父が言うにはこの人からナチスもソ連もはじまったらしい、全体主義のはしりだというのだ。
「ああした思想が世に広まりますと」
「大変なことになる、ね」
「ソ連みたいに」
 本当に僕にこう言った。
「なるって」
「あの国とんでもない国だったし」
「実際にです」
「ソ連みたいになるって」
「そう言っていました」
「まあ実際ね」
「日本も教唆主義になっていたら」
 本当にそうなっていたらだ。
「ソ連みたいになっていましたよね」
「粛清とかがあってね」
「とんでもないことになってましたね」
「絶対にね」
「そうですよね」
「そうなっていたから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「ならなくてよかったですね」
「義和のお父さんそうしたこともわかってるのね」
「まあそうですね」
 あの親父にしてもだ。
「あれで信仰心ありますし」
「そうなのね」
「はい、毎月教会に行ってました」
 日本にいる時はだ。
「今は流石にですけれど」
「イタリアにいるから」
「あっちに教会はあったかどうか」
 イタリアに天理教の教会はだ。 
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