八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十九話 夏は終わりでもその四
「朝食な」
「朝御飯ですね」
「そう、朝御飯もしっかり食べて」
そしてというのだ。
「一日頑張ろうな」
「三食しっかり食べることだ」
井上さんも言う、こうしたことも厳しい人だ。
「だから朝もな」
「これからですね」
「食おう」
「それじゃあ」
「さて、今日の朝御飯は何か」
「楽しみですね」
「これからな」
こうしたことを話してだ、そしてだった。
僕達は三人でその朝御飯を食べに食堂に向かった。今朝はサンドイッチとオムレツ、それに玉葱と人参、カボチャのスープだった。
そのサンドイッチを食べてだ、僕は言った。
「いや、今日も」
「美味しいですか」
「はい」
作ってくれた小野さんに答えた。
「凄く美味しいです」
「それは何よりです」
「ハムサンドも野菜サンドも」
そのどちらもだ。
「美味しいです」
「最近サンドイッチを作っていなかったので」
「だからですか」
「はい、今日はと思いまして」
それでというのだ。
「作ってみました」
「そうだったんですね」
「他のメニューはよく作っていますが」
オムレツや野菜スープはだ、確かにこの八条荘では欧州の朝食の時はどちらも定番の一つだ。
「しかしです」
「サンドイッチはですか」
「そう思って作りました」
「成程」
「そして耳ですが」
パンの耳だ、硬いあそこだ。
「軽く揚げてお砂糖とシロップで甘くしましたので」
「じゃあお菓子に」
「なりますので皆さんでどうぞ」
「ああ、パンの耳もですね」
「こうした時は邪魔に思われても」
「ちゃんと使えるんですね」
「何でも残さず無駄にしない」
小野さんは僕にこの言葉を言ってくれた。
「それがお料理です」
「八条家の家訓でもそうですね」
「禅宗のお寺でもそうですが」
「何でも残さない、ですね」
「そして無駄にしない、です」
食べるものなら何でもだ。
「そうなのです」
「そうですか」
「はい、そして」
「パンの耳もですか」
「お菓子にしましたので」
「お茶菓子に合いそうですね」
「作ってみましたので」
だからというのだ。
「是非お楽しみ下さい」
「そうさせてもらいます、そして」
そのうえでだった。
「紅茶やコーヒーも」
「そうですね、合いそうですからね」
「ですから」
それでというのだ。
「お楽しみ下さい」
「だから甘くもしたんですね」
「お茶には甘いものです」
無論コーヒーもだ、とにかくこうした飲みものには甘いお菓子がとにかく合う。それもかなりだ。
「ですから」
「ううん、じゃあ帰ったら」
「召し上がられますか」
「夜もよさそうですね」
お茶だけでなくとだ、僕はふとこうも思った。
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