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夢幻水滸伝

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第四十六話 都の星達その一

               第四十六話  都の星達
 綾乃は太宰に彼女が誘いをかけて迎え入れるべき星の者達に会いに御所を出た、まずは御所のすぐ近くの自警団の方に向かった。だがその途中で。
 お付き兼護衛として今は共にいる弥生からだ、こう言われた。
「あの、変装はええですけれど」
「町娘姿似合ってる?」
「結構以上に似合ってます」
 今は白い姫巫女の服ではなく町娘、丁度室町の頃の服になっている。それは弥生も同じであり傍から見て二人の町娘が都の中を歩いている様だ。
 だがその中でだ、弥生は綾乃にこう言ったのだ。
「ただ何か」
「目立つんかいな」
「姫巫女さん独特の雰囲気がありますさかい」
 それでというのだ。
「光が出ていて」
「光の精やからな、うちは」
「はい、しかもずっと棟梁ですさかい」
 このこともあってというのだ。
「雰囲気が他の人とちゃいます」
「うちが誰かわかるか」
「変装しててもわかる人は」
 見ただけでというのだ。
「わかると思います」
「そやねんな」
「はい、そこは気をつけていきましょ」
「ほなあっちの世界の服装やったらよかったやろか」
 都の中を歩きつつだ、綾乃はこうも言った。
「そうしたら」
「高校の制服ですか?」
「うち高校では普通の生徒やし」
 所謂モブと言っていい位の多くの生徒達のうちの一人になっているというのだ、確かに綾乃は高校ではわりかし普通の部類に入る生徒だ。
「それでな」
「いや、制服でこっちの世界に来たら」
「ああ、目立つな」
「それで私もですにゃ」
 弥生もというのだ、自分の口調がここで強く出た。
「どうしてもですにゃ」
「こっちの世界の主な服とちゃうからやな」
「そうですにゃ、特に姫巫女さんはあっちの世界では超ミニスカで」
 そうしたスカートの丈の制服なのだ、綾乃のそれは。
「白い生足剥き出しだから余計にですにゃ」
「剥き出しって何かいやらしない?」
「実際にそうですにゃ」
「冬はストッキング穿くで」
「それはそれで、ですにゃ」
 こちらの世界の日本ではというのだ。
「玲子さん並に目立ちますにゃ」
「そうやねんな」
「もうちょっと気配隠していきましょ」
 こう綾乃に言った。
「今は」
「お忍びで動いてるしな」
「それで目立っては何にもなりません」
「気配を消すか」
「忍者みたいに」
「ほなくノ一の服装になろか」
「そやから服装の話やちゃいますから」
 何処か天然な綾乃に言い続ける、だがそうしたやり取りをしていても都の者は二人の町娘を見ても綾乃と弥生とは今は気付かなかった。
 そしてだった、綾乃はある寺子屋に来た。そこで綾乃は弥生に少し考える顔になってこんなことを言った。
「そういえば今警察も作ってるけどな」
「それで治めてる地域に配置していってますにゃ」
「海の方もな」
 水軍以外にだ。
「そうしてますけど」
「それをまとめる人がおらんからな」
「そやからです」
 だからこそというのだ。
「太宰さんはその長になってくれる人をとです」
「治安関係の内政やな」
「それを出来る方をとなりまして」
「この寺子屋におる星の子をやな」
「迎え入れて欲しいと言われてなのです」
 それでその星の者がいる寺子屋に来たというのだ。
「そうした次第です」
「そういうことやな」
「ほな今からここに入りましょ」
 弥生は寺子屋の入り口、長屋の中にあって普通の障子の入り口であるその前にいてそのうえで綾乃に話した。 
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