| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十五話 神戸の大工その十三

「ですから」
「それでやな」
「自分と綾乃ちゃんでそこまで進めたんやな」
「左様です、ではもうそろそろです」
 太宰は二人にあらためて話した。
「棟梁、姫巫女様も戻って来られます」
「そやな、綾乃ちゃんもそろそろな」
「戻って来るわ」
「既に姫巫女様がお誘いをかけた者は五人共この御所に来ています」
「綾乃ちゃんも全員誘えたんやな」
「これでほんまに揃ったな」
「はい、それではです」
 揃ったからにはというのだ。
「あの方も戻られますので」
「綾乃ちゃんの話も聞こか」
「そうしよか」
「あらためてお茶とお菓子の用意をしまして」
 そうしてというのだ。
「お聞きしましょう」
「そうしよか」
 中里が応えてすぐにだった、綾乃が戻ってきた。いつも通り白い姫巫女の服を着て楚々とした雰囲気である。
 その綾乃を棟梁の座に据えてだ、中里は彼女にお茶と羊羹を出してから尋ねた。
「綾乃ちゃんの話も聞きたいけどな」
「うちのっていうと?」
「そやから五人こちらに加えられたやろ」
「その話かいな」
「それしてくれるか?」 
 こう綾乃に言った。
「そうしてくれるか?」
「おもろい話やないけどええ?」
 このことを断った綾乃だった。
「それでも」
「いやいや、おもろい話やからな」
 それでと返した中里だった。
「聞かせてもらうで」
「人誘って来てもらうだけやけど」
「それが結構おもろいからな」
「そうなんやな」
「こいつの話もおもろかった」
 芥川を指し示して綾乃に話した。
「そやから綾乃ちゃんもな」
「そう言うんやったらな」
 綾乃も頷いてだ、そしてだった。
 お茶を一杯飲んでからだ、話に入った。
「まずは都での話をするで」
「確かいきなり結構会ったんやな」
「何と四人おったんや」
 綾乃が会うことになっていた五人のうちのというのだ。
「一人だけ越前でな」
「殆どが都に集中してたんか」
「そや、ここにな」
 まさに彼等が今いる拠点にというのだ。
「そやからまずは都の中を巡ってな」
「それでやな」
「話をしたんや」
 そうだったというのだ。
「それで皆に来てもらったんや」
「話が早かったんやな」
「ほなこれから話すで」
「頼むわ」
 こうしてだった、綾乃は自分の話をはじめた。彼女が仲間達を誘いそうして仲間にしていったその話を。


第四十五話   完


                 2017・12・8 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧