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夢幻水滸伝

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第四十六話 都の星達その二

「そうしてです」
「その子と話をしよか」
「そうするですにゃ」
 こう話してそしてだった。
 綾乃は弥生が開けてくれた障子を弥生にお礼を言ってからくぐった、そのうえで寺子屋の中に入ると。
 一人のフェアリーの女、眼鏡をかけている厳しそうな顔立ちで横は肩の長さで切り揃え後ろは腰まで伸ばしている黒髪の少女と会った。少女は寺子屋の中で座っていて明治の頃の警察官の制服を着ている。
 その彼女にだ、綾乃は声をかけた。
「天牢星、海音寺喜久子ちゃんかな」
「そうですが、そう言う貴女は」
 そのフェアリー、海音寺喜久子は自分に聞いてきた綾乃を見て言った。
「関西の棟梁、神魁星紫綾乃さんですね」
「あれっ、うちのこと知ってるん?」
「お話は聞いています、それに学校でも何度かお話してますよ」
「三年G組の風紀委員やったな」
「普通科の女性の委員長を務めさせてもらっています」
 喜久子は真面目そのものの声で答えた。
「今は」
「そうやったな」
「はい、それでこちらに来られた理由は。立ち話も何ですし」
 障子のところにいる弥生も見て言う喜久子だった。
「中にお入り下さい、そして」
「三人でやな」
「お茶とお饅頭があります」
 この二つがというのだ。
「如何ですか」
「貰ってええのん?」
「どうぞ、三人でお話しましょう」
「三人ってうちもですか」
 弥生は喜久子のその言葉にすぐに反応した。
「お茶とお饅頭ええですのん」
「遠慮は無用です」
 喜久子は弥生に折り目正しい声で答えた。
「今は私は私人なので」
「私人やとええんですの」
「公人ですと然るべき場でのお話が必要でして」
 そうしてというのだ。
「こうしたものを出すのも何かと慎重さが必要ですが」
「今はええですのん」
「はい、まだ仕官もしておらず」
 そしてというのだ。
「普通にお話をしますので」
「それで、ですか」
「はい、お話をしましょう」
 弥生を入れて三人でというのだ。
「そうしましょう」
「ほなお願いします」 
 弥生も頷いてそうしてだった。
 綾乃と弥生は長屋の畳の場所に上がりそこで喜久子と向かい合ってそれぞれ出された座布団の上に座った。そのうえでお茶と饅頭を出してもらい。
 その茶と饅頭を口にしつつ話をした、その中で喜久子は綾乃に話した。
「実は迷っていまして」
「迷ってたっていうと?」
「はい、仕官しようかどうしようかと」
「そのことをかいな」
「この世界に来て暫く各勢力を見て考えていました」
 そうしていたというのだ。
「どの勢力が一番いいか」
「それをかいな」
「それぞれの勢力を見て歩いてもしていました」
 そうまでしていたというのだ。
「日本だけでなく各地も」
「そうしてたんかいな」
「はい、私の職業は警官です」
 喜久子は己の職業のことも話した。
「そして持っている神具は十手、各諸法度に公事型方御定書です」
「十手はあれやな」
「はい、同心達が持っていたもので」
 まさにそれだというのだ。
「あの大岡越前も持っていたとかで」
「それをか」
「私も持っています」
「まさに警官の持つもんやな」
「はい」
 その通りだというのだ。
「それに諸法度と御定書は法律の書で」
「警官やから法律やな」
「あらゆる法律の知識と正しい応用を私に教えてくれ」
「十手は何や」
「相手の有罪無罪を教えてくれます」
 持ち主である喜久子にというのだ。 
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