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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十七話 ワニとイルカその十

「それか砂漠で野垂れ死に」
「自然の現実は厳しいですわね」
「テレビで甘いことを言っていたら」 
 それこそというのだ。
「腹が立つ」
「現実で、ですね」
「そう、そうして死ぬ」 
 食べられるか噛まれるか野垂れ死にというのだ。
「運がよかったらタスマニアだとフクロオオカミに食べられる」
「それ運がいいんですの?」
「絶滅したらしいから」
 本当に絶滅したんだろうか、まだ目撃例がある。
「見られたら運がいい」
「食べられましても」
「そうなる」
「ううん、お隣同士でも」
 両国を隔てている海の距離は結構だ、日本と韓国のそれよりも遥かに離れている。だがそれでもと隣国同士で交流は兄弟国そのものだ。
「我が国とニュージーランドは自然環境が違いますわね」
「本当に」
「オーストラリアの自然は過酷ですのね」
「そうした一面があるのは事実」
 砂漠が結構多い、そしてやっぱり毒蛇が気になる。
「その中で生きてきた」
「アボリジニーの方々は」
「私も半分そうで」
「自然の中に」
「半分生きて来た」
「そうですの」
「文明の中にもいて」
 お家とそうした場所を行き来していたのだろうか、僕は二人のやり取りを聞いてこう考えた。
「そうしてきた」
「そして自然は、ですの」
「ミツアリも食べた」
 お尻のところに蜜を溜める蟻だ、これが結構美味しいと聞いている。
「甘かった」
「蟻ですのね」
「あれが中々いい」
「美味しいんですね」
「そう」
 僕にも答えてくれた。
「日本では食べられないけれど」
「あの蟻のことも聞いてますけれど」 
 本で読んだ、あと新聞記者と陶芸家のその記者の父親がやけに威張り腐ってお店の中で営業妨害をする似非グルメ漫画でも紹介されていたらしい。
「日本では」
「ない」
「ないですね」
 というかある筈がない。
「あの蟻は日本にはいないですから」
「オーストラリア限定」
「そうじゃないですか?」
 他の地域にいるとは聞かない。
「やっぱり」
「それは残念」
「残念でも仕方ないです」
 このことばかりはだ。
「あれは珍しい虫ですよ」
「蟻はその辺りにいても」
「はい、それこそ幾らでも」
 街でもいる、クロアリはともかくシロアリだと迷惑だ。蟻は蟻でもシロアリは違う種類だけれど。
「いますけれど」
「あの蟻はいない」
「というかあの蟻を食べたって」
「驚いた?」
「凄いですよ」
「アボリジニーの昔からの珍味」
 そうだというのだ。
「食べると美味しい」
「そうなんですね」
「だから義和もジョーンも」
 二人共、というのだ。 
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