八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百四十七話 ワニとイルカその八
「メガロドンがまだいるって話もありますけれど」
「メガロドン」
「大昔にいた鮫で」
とはいっても恐竜より後の時代だ、恐竜の時代の海は鮫よりも遥かにでかい巨大な恐竜達の世界だった。
「十六メートルあったとか」
「ウバザメ並」
「それ位だったそうです」
「四十メートルではなかったのですか?」
メガロドンについてだ、ジョーンさんは僕にシャークナゲットを食べつつそのうえで言ってきた。
「メガロドンといえば」
「そこまではだったらしいよ」
「実際は」
「とてもね」
昔は本当にそこまで大きかったと思われていたそうだけれどだ。
「大きくなかったらしいよ」
「十六メートルですか」
「うん、まあそれでも相当に大きいから」
今話しているホオジロザメ以上にだ。
「目立つだろうね」
「そうですわね」
「今いたらね」
「そしてひょっとしたらですのね」
「まだいるって噂があるんだ」
よくある話といえばそうだ、絶滅したと思われていた生きものがまだ生き残っているという話がだ。
「まだね」
「そうですの」
「若しいたら」
そのメガロドンがだ。
「数はやっぱり少ないにしても」
「ステーキに出来る」
エリザさんはまたこう言った。
「それを食べたい」
「人食い鮫のステーキですか」
「人を襲う相手を逆に食べてやる」
「やられたらやり返せですか」
「違う」
エリザさんはきっとした目で僕に言ってきた。
「やられる前にやる」
「そっちですか」
「そう、自然との調和は大事だけれど」
「自分の身は護る」
「それ。獣に食べられたくないなら」
「自分が食べる」
「そうする」
まさにというのだ。
「それが自分の身を護ること。それに」
「それに?」
「食物連鎖」
エリザさんはこの言葉も出した。
「自然の中にあって何かを食べるのは当然」
「鮫でもですね」
「そう、何でも食べる」
「それが自然ですか」
「自然の中で生きること」
「アボリジニーの人達の生活ですか」
「奇麗ごともあるけれど」
よく自然に帰れと言われる、けれどそうしたことを言う人達に限ってクーラーやパソコンやテレビから離れない気がする。テレビに出て夏場でもスタジオの中でスーツを着ている人が原発反対と言うのならせめて撮影中でもクールビズをしてみればどうかと思うのは間違いだろうか。
「リアルだから」
「食物連鎖があるんですね」
「クロコダイルダンディなら」
あのハリソン=フォードが出ている映画なら。
「鰐と死闘をして」
「そしてですか」
「殺して食う」
「凄い現実ですね」
「そして鰐のステーキ」
ここでもステーキだった、エリザさんの好みがよくわかる。
ページ上へ戻る