八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十七話 ワニとイルカその七
そしてだ、二人と一緒にシャークナゲットを売っているその店に行ってだ、そのうえでだった。
そのシャークナゲットを食べるとだ、エリザさんはこう言った。
「あっさりしてる」
「そうですよね」
「意外と以上に」
「鮫はそうなんです」
「別に匂いもおかしくない」
「結構アンモニアがあるそうですけれどね」
それで独特の匂いがするとも言われているけれどだ。
「こうしてナゲットにしましたら」
「その匂いも消えて」
「こうして普通のお魚のナゲットになります」
「そうなの」
「お酒があれば」
この場合はビールか白ワインだろうか。
「また違うと思います」
「そうね、美味しい」
はっきりとした返事だった。
「これは」
「気に入ってくれましたか」
「凶悪な人食い鮫を食べた」
エリザさんは不敵な笑みと共に言った。
「私は勝った」
「いや、勝ったって」
「人食い鮫に勝った」
「ですから多分」
「わかってるけれど言ったの」
そうだというのだ。
「気にしない」
「冗談ですか」
「そう、ただホオジロザメも」
「この水族館にはいないですけれどね」
シロワニという随分と怖い顔の大きめの鮫がいる、けれど実はこの鮫は案外大人しい種類らしい。
「食べられますよ」
「じゃあ今度はホオジロザメのステーキ」
「ステーキですか」
「五百グラムを」
微笑んでだ、ナゲットを食べつつ僕に言った。
「白ワインで」
「鮫のステーキですか」
「どう?」
「どうですかね」
僕は首を傾げさせつつエリザさんに返した。
「そっちは」
「ステーキには合わないの」
「蒲鉾とかにこごりとかならありまして」
「フカヒレスープも」
「あとこのナゲットも」
食べていて確かにいける、あっさりしていて癖もない。
「ありますけれど」
「ステーキはなの」
「聞かないです、あと」
「あと?」
「ホオジロザメって実は絶滅危惧種ですから」
エリザさんにこの話もした。
「普通には食べられないです」
「そうなの」
「元々数は少ないみたいですね」
「海に血をコップ一杯分たらしたらうじゃうじゃ寄って来るのに」
鮫は鼻がいい、それで血の匂いに集まってくるのだ。
「少ないの」
「それ他の鮫もですよね」
「五キロ立法の鮫が寄って来る」
「その中にどれだけホオジロザメがいるか」
その問題はというと。
「これが、ですから」
「そうなの」
「案外少なくてさらに減ってるそうです」
「それは意外ね」
「オーストラリアの周りの海もホオジロザメばかりじゃないですよね」
「鮫の数も種類も多くて」
「ですから。まあ噂ですと」
僕はふとある鮫のことを思い出してその鮫のことも話した。
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