武装神姫 ~心と心の最前線(Front Line)~
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第一章 『ユウナ』
第3話 発見
第3話 発見
とある公園にて・・・
家の近所にある公園にやって来た。彼女の提案で自然を見ながらリラックスしようという考えだ。
「マスター。その・・・、私が言うのも何ですが少々無茶だったと思います。それに新しいレールアクションを使うなら行く前に言ってくれれば・・・。」
彼女お得意の説教が始まった。いったいリラックスとはなんだったのか。今までの生活から、結奈はたまに熱中する時があることがわかった。普段は私のことを正すことで忙しく彼女のやりたいことをする時間があまりないのかもしれない。そんな中で神姫バトルの最中はとても生き生きしているように見えた。生活の中で時間に余裕が出来た時はバトルに連れて行っているのだが、今回は私が主体的な戦いだった。任せるといったものの、結奈も彼女の意思で戦いたかったのだろう。
「・・・だと私は思うんです。そうだと思いませんか? マスター?」
だが今日の戦い方に問題があったと思えない。確かに結果を見ると見切られていたのかもしれない。だがそれは相手が強すぎたからだ。自分と同等のレベルならうまくいっていたかもしれない。だが、今後のことも考えると中途半端な準備だったと思う。レールアクションの調整だけではなく、武装パーツと結奈自身もメンテナンスに加えてチューニングしておこう。
「・・・という時のためにもですね、マスター。新しい戦法を増やした方が・・・って、聞いていますか?」
オールベルンの基本武器は小剣、近距離戦に持ち込まないとダメージが与えられない。開幕と同時に一気に敵に近づき自分のリーチの中に収めないと勝てないだろう。ましてやゲンさんとあいのように中距離ないし遠距離からの攻撃にはめっぽう弱い。すべて避けるか受け流すなんてそんな高等テクニックを持ち合わせているわけでもない。彼女が言っていた通りスピードが足りていないのかもしれない。
「もぉ!マスター!聞いてくださいよ! はっ!? マスター! 危ない!!」
今まで普通に生活してきた私にそんな戦場で求められるようなスキルが備わっているとも思えない。小学生がするドッジボール等とはわけが違う。今日の戦いで私が結奈にしてしまったこと。彼女に傷をつけさせてしまった。ロボットではある。だからメンテナンスさえしてしまえば傷は修復できる。だが1ヶ月と少しの間、結奈と過ごすことでロボットである以上に大切な存在になっていると気づいた。
「す、すごいです!マスター! そんなギリギリで避けるなんて・・・、そういえば先程の戦いでも直撃は避けることができていました・・・。 そうですよ、マスター!
これです!!」
「あの、すみません!わざとじゃなかったんで・・・、あれ?えっと・・・、」
気が付くと見慣れない子供が4人、目の前で謝っていた。一体どうしたのか尋ねると1人の子がボールを避けてしまいそのままこちらの方に飛んできたというのだ。記憶になかったが自分の後ろの茂みに事実、ボールが挟まっていた。なるほど彼らが遊んでいた場所から推測すると確かにこちらに飛んできたようだ。大丈夫だということを伝えて子供たちを遊びに戻してやった。
「それにしても、危なかったよな。 ギリギリで当たらなくてよかったよ。」
「そうだね。 怒られるかと思っちゃった。」
「あれ? あの人が避けていたんじゃないの?」
「そうかな? ぼぉーっとしているだけのように見えたけど・・・。」
彼らのやり取りが耳に届いた。すると今度は、
「もぉ!だからマスター!聞いてくださいよ!!」
結奈は何故かご立腹だ。子供たちへの対応がまずかったのだろうか・・・。ふと先ほどのバトルでついてしまった結奈の傷が目に付く。申し訳ない気持ちになり結奈をそっと抱き寄せた。
「kv%jw#んt※rh!? ちょ、ちょっとマスター/// 外ですよ/// 皆さんから見られてしまいます///」
私はそのまま結奈を手に乗せ歩きながら帰宅した。せめて早くメンテナンスしてあげよう。そういえば先ほどの要件はなんだったのだろうか。結奈に聞いてみると、
「もぉ/// マスターがあんなにいきなり大胆になるなんて思っても見ませんでした///
・・・って、やっぱり聞いてなかったじゃないですか! ですから、今後の戦い方についてですよ!」
彼女の説教はまだ終わっていなかった。さっきまで全く聞いていなかった自分に反省する。
一方その頃・・・
「なぁ、あいちゃん。今日、手加減せんかったはずやんなぁ。」
「そ、そうですね。『手加減したら本気で戦いよる相手に失礼や!』って、マスターが普段から言っていますから。 それがどうしたんですか?」
「いやぁなぁ、(今日もワシらのコンビネーションは決まっとったはずや・・・。だが、なんや。ほとんど手応えがないようにも感じるのもあった。 あいつはほとんど動かれへんかったし、翻弄できとったはずや。 結果今日も勝っとる。 少しずつ成長しとるにしては何か違和感するわ・・・。)うぅーん・・・。」
「マスター?」
「あぁ! すまん! そうや! あいちゃん、ちょっとえすえぬぴいからバトル履歴出してもらえるか?」
「マ、マスター・・・。ですから声が大きいですよぅ・・・。うぅ・・・。はい、どうぞ。バトル履歴です。」
「ありがとうな!(フムフム・・・。 これは!? そうか・・・。早く気づいたらいいなぁ・・・。)」
「マスター、なぜだか楽しそう(?)ですね。」
「おぉ! ワシなんてまだまだ・・・。目ん前ばっかり見とったらあかんっちゅうことや!」
いつもは人の注目を集めてしまわないか不安になる大きなゲンの声が、この時のあいにとっては、武者震いのようにも不安を紛らわせるようにも感じられた。
第3話 完
後書き
タイトルを話数毎の題目に更新しました!
ネタ尽きるまでは毎週か、隔週に更新します。
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