八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十七話 ワニとイルカその二
「洋食は明治維新からで」
「カレーやハンバーグを食べる様になったのは」
「カツとかスパゲティもですね」
ハヤシライスもだ、中華料理にしてもラーメンが入って来たのも明治だ。夏目漱石は志那そばと呼んで食べていたらしい。
「明治からで」
「明治はかなり前」
「百年以上前です」
「かなり歴史がある」
「そうですね、それでその歴史の分だけ」
「日本になっている」
「そうですね」
エリザさんにこう答えた。
「本当に」
「日本のお料理に」
「外国から入ったお料理も」
「次第にその国のものになるから」
「洋食もですね」
「そうなってる、私が好きな洋食は」
それはというと。
「ナポリタン」
「あのスパゲティですか」
「大好物」
微笑んでだ、エリザさんは僕に言った。
「何といっても」
「あれ美味しいですよね」
「勿論オリーブと大蒜を利かせて」
パスタだからこの二つは欠かせなかった。
「そうして食べる」
「ケチャップを利かせたソースで味付けをしたスパゲティを」
「それが大好き」
「あれは他に国にはありませんわ」
ジョーンさんも言ってきた、ジョーンさんもカレーとハンバーグの両方を美味しそうに食べている。
「勿論イタリアにも」
「そうそう、ナポリといっても」
「ありませんでして」
「あくまで日本のスパゲティだね」
「はい、本当に」
「そうなんだよね、僕は子供の頃はね」
ナポリタンというだけあってだ。
「イタリアからって思っていたけれど」
「違いますわね」
「小学一年の時だよ」
今思うと懐かしい、僕もあの時は小さかった。
「クラスにイタリア、しかもナポリからの娘がいて」
「その娘に言われましたの」
「給食の時に出て」
そのナポリタンがだ。
「こんなスパゲティ知らないってね」
「言われましたのね」
「はっきりとね。けれど美味しいって」
「美味しいことは認めて下さいましたの」
「うん、今その娘農業科にいるよ」
「農業を学んでいますの」
「実家が牧場らしくて」
そのナポリの方でだ。
「牛や馬のね」
「だからですのね」
「農業科にいるんだ」
「酪農の方ですわね」
「そっちを勉強してるよ」
実際にだ。
「何でも成績優秀らしいよ」
「努力されてますの」
「そうなんだ、とにかくその娘が」
イタリア人らしく黒髪と黒い瞳が情熱的な可愛い娘だった、農業科の中で今も見るけれど奇麗になった。
「ナポリタンなんてないってね」
「言われてましたのね」
「そのナポリ、イタリアにはね」
「面白いお話ですわね」
「明治の頃に出来たとかね」
ナポリタンが生まれた経緯はだ。
「終戦直後って話もあるよ」
「案外早いですわね」
「うん、カルボナーラもそうらしいし」
このスパゲティにしてもだ。
「大戦中らしいよ」
「あのスパゲティもですの」
「イタリアにアメリカ軍が来た時に出来たらしいんだ」
アメリカ軍の豊富な物資の中から使える食材を使ってだ。
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