夢幻水滸伝
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第四十五話 神戸の大工その五
「頑張ってくれな」
「そうさせてもらうね、じゃあ支度を整えて」
そのうえでと言ってだ、房江は早速だった。
身支度を整え転移の術で都に向かった、そうしてだった。
芥川は継ぐの目的地に向かった、そこはというと。
「さて、但馬な」
「牧場やな」
「そこに行ってや」
「次の星の奴を迎えるんやな」
「大工の房江ちゃんは女の子やったけれどな」
先程の房江の話もする芥川だった、今も九尾の狐の背に乗ってそのうえで空を飛んで但馬に向かっている。
「今度もや」
「女の子か」
「そや、星の奴は結構女の子もおるわ」
「人間半分は女の子やしな」
「それでや、今度の牧童の子もや」
「女の子か」
「男の娘もおるけどな」
こうした者の話もする芥川だった。
「こっちの世界にも」
「女装男子やな」
「そや、自分も見て来たやろ」
「日本結構多いな」
「伝統やからな」
日本の伝統の一つだというのだ、女装もまた。
「文学でもあったしな、谷崎潤一郎な」
「その作家の作品でもあったんか」
「秘密な、あと織田信長さんもやってた」
このことは史実にある。
「こっちの世界では神様になってるな」
「ああ、あの人やな」
「あの人も女装したことがあったんや」
「やたら派手な人やけどな」
「色々やってる人でな」
それでというのだ。
「女装もやってたんや」
「成程な」
「それでこっちの世界でもな」
「女装男子がおるんやな」
「男の娘がな」
所謂そうした趣味の者がというのだ。
「しかもこれがな」
「めっちゃ可愛い奴おるな」
「女の子にしか見えんのがな」
「しかも同性愛でな」
「こっちの世界の日本も同性愛は普通やしな」
このことも同じだったりするのだ、尚この時代の日本でも同性愛は法律で禁止されていることはない。
「それでな」
「普通にやな」
「そうした子が同性愛者でな」
「普通に普通の男と付き合ってて」
「それどころかいざって時にや」
どういった「いざ」という時かはあえて話さない。
「女の子にないものがあってな」
「わかりやすい言葉やな」
「それで驚く話もあるわ」
そうだというのだ。
「男やったんかってな」
「それは結構怖いな」
「そやな、美少女って思ったらな」
「美少年やったってな」
「それも女装趣味のな」
「きついな、しかし自分よお知ってるな」
「都におって聞いたんや」
それで知っているというのだ。
「僕の実体験ちゃうで」
「それかと思ったらちゃうか」
「ちゃうわ、そんな経験したらや」
自分自身がそうなっていればと想像してだ、芥川はその顔を強張らせてそのうえで狐に対して話した。
「僕もな」
「流石にやな」
「心に忘れられん傷負うわ」
そうなるというのだ。
「僕はそっちの趣味はないからな」
「ないんか」
「ないわ」
そこは全力で否定した芥川だった。
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