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夢幻水滸伝

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第四十五話 神戸の大工その四

「宜しくな、そういえばまだ名乗ってなかったね」
「北房江ちゃんやな」
「そうさ、星は人空星で種族はグレムリンで職業は大工でな」
「八条学園では工業科の一年C組やな」
「色々知ってるね、調べたのかい?」
「聞いたんや、星の奴の情報はうちの宰相が全部把握してる」
 太宰、彼がというのだ。
「それで僕も知ってるんや」
「そうなんだね、ストーカーかと思ったよ」
「それはないわ」
「だったらいいさ、うちはそういうの嫌いだからね」
「言うんやったらか」
「うちに直接言うか聞くかすればいいんだよ」
 ストーカーなぞするよりもというのだ。
「今彼氏いないし相当変なのでないとね」
「付き合うんんか」
「そうさ、まあそれでだけれどね」
「ああ、都でな」
「大工関係、家とかそんなののだね」
「内政してもらうで」
「わかったよ、じゃあうちの神具の十兵衛源太も使ってね」
 それが神具の名前だった。
「存分にやるよ」
「十兵衛源太っていうとや」
「読んだことないけれど幸田露伴の小説の主人公達の名前だよ」
「そやったな」
「その二人の名前を同時に付けた大工道具一式さ」
 それだというのだ。
「うちの神具に相応しいだろ」
「ああ、大工道具やとな」
「それを使ってさ」
 そのうえでというのだ。
「家も今みたいに一軒一時間で完璧なのを建てて大工関係の知識だってな」
「神具からか」
「自然と教わってるんだよ、まあ元々うちは実家大工でさ」
 このこともあってというのだ。
「こうした知識はあるんだよ」
「そういうことか」
「江戸っ子みたいだろ、けれど違うよ」
 そこは笑って言う房江だった。
「関西生まれの関西育ちだよ」
「それも聞いてるわ」
「神戸のね」
「それでその大工の腕もやな」
「そうさ、女だけれど工業科だしね」
「それはかなり珍しいな」
 工業高校は女子が少ない、だから芥川もこう言ったのだ。
「太宰から聞いた時から思ってたことやが」
「うちはまだ女の子多い方だよ」
 八条学園高等部工業科はというのだ、他の工業高校に比べて。
「三対一位だからね」
「男が三やな」
「四対一かも知れないけれどね」
「工業科やと多いんやな」
「まだね、それでうちの男連中はね」
「女子の多い商業科や農業科に行ってな」
「付き合ってるよ」
 そちらは女子の方が多いからだ。
「余った者同士でね、ちなみにうちはね」
「誰と付き合ってるねん」
「それは内緒さ」 
 にやりと笑って言う房江だった。
「言わないよ」
「そうなんか」
「ああ、プライベートの話だからね」
 それで言わないというのだ。
「内緒だよ、それでね」
「ああ、これからやな」
「都に行くよ」
 そうするというのだ。
「それで政で頑張るよ」
「頼むな」
「うちは実践派だからね」
「自分でも動いてやな」
「そうしてもいいね」
「そこはそれぞれでいってくれ」
 是非にという返事だった。 
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