夢幻水滸伝
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第四十五話 神戸の大工その二
「関東の横浜以上やったな」
「そや、とにかくでかい大事な港町で工場もよおさん造ってる」
「それでやな」
「どんな状況か見てや」
そしてというのだ。
「それからや」
「政をするからやな」
「それでまずは神戸を見てな」
「そのうえでか」
「大工の奴に声をかける」
「そうするか」
「大工には民の家の建築を主にやってもらうわ」
こちらをというのだ。
「建築士の奴には橋とか道とか堤防をな」
「やってもらうか」
「そや、軍事とかそんな方をな」
「成程な、そこまで考えてるんやな」
「建築も色々やからな」
「家のとか軍事のとかやな」
「色々あるからな、橋とか道もあるしな」
そうしたところのこともというのだ。
「そこは分けてや」
「やってもらうか」
「こっちの世界の建築士は何か橋とかの方が専門らしい」
それでというのだ。
「そっちをやってもらうわ、道とか堤防とかないとな」
「進めへん、水害にもやな」
「どうにもならんからな」
それでというのだ。
「ここはや」
「家にか」
「それに道とかもや」
「二つを分けて政をやってくか」
「それで僕は大工の奴に声をかけるんや」
勧誘をするというのだ。
「そしてや」
「そのうえでやな」
「そこから但馬の牧場におる牧童や」
この星の者にというのだ。
「声をかけてや」
「そのうえでやな」
「最後に石見や」
この順番で声をかけていくというのだ。
「そうしてくわ、石見はな」
「銀山やな」
「何でも中南米のポトシに並ぶらしい」
そこまで大きな銀山だというのだ。
「甲府と佐渡の金山も凄いけどな」
「石見もやな」
「凄い、あそこにおるんや」
星の者がというのだ。
「それでや」
「最後は石見やな」
「そこに行くわ」
「わかったわ、ほなな」
「まずは神戸や、僕等の学校があるな」
「それは自分等の世界の話やろ」
このことにはすぐに突っ込みを入れた狐だった、そうした話をしながらだった。
二人は神戸に降り立った、神戸の街は港も工場も店も人が多くい行き交って栄えていた。狐はその状況を見て自分の背から降りている芥川に言った。
「ええ感じで賑わってるな」
「そやな、人が元気で働いててな」
そしてと言うのだった。
「貧しい奴も少ないみたいやし」
「貧民街か」
「何処でもあるけどな」
このことは残念な顔で言う芥川だった。
「貧富の差は」
「どの国でもやな」
「何時の時代でもな、これはどうにかせなあかんけど」
「それでもやな」
「ああ、少ない」
見れば貧民街と言っていい粗末な長屋の場所は確かにある、しかしそれでもその面積と人の数は少しである。
「もっと減らすけどな」
「それでもやな」
「少ないのはええことや」
「そやな、確かに」
狐も頷いて認めることだった。
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