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夢幻水滸伝

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第四十五話 神戸の大工その一

               第四十五話  神戸の大工
 芥川は神戸の方に向かった、自身の神具である九尾の狐に乗って空を飛んでそのうえで神戸に向かったのだ。
 都を飛び立ってすぐだ、芥川は狐に言った。
「僕は大工と牧童と坑夫や」
「その三人をやな」
「誘いにかけてな」
「こちらに入れるんやな」
「そや」
 こう狐に答えた。
「そうするんや」
「三人共おる場所わかってるな」
「大工は神戸、牧童は播磨そして坑夫は石見におる」 
 芥川は三人それぞれの場所のことも話した。
「もうな」
「そうか、ほなそれぞれ巡ってやな」
「仲間にしてくで」
「そこまでわかってるなら話が早いわ」
 狐は自身の主に確かな顔で応えた。
「ほなまずは神戸か」
「そこの大工に話すわ」
「そうしてやな」
「次は田島、それで最後はな」
「石見やな」
「そこに行くわ、石見は遠いけどな」
 都、二人が今いるそこから見るとというのだ。
「そやけどな」
「あそこにも行くんやな」
「そうするわ、自分に乗ってたらすぐやしな」
「わしの速さは本気になったら凄いで」
 不敵に笑ってだ、狐は自分の背に乗る芥川に言った。
「音の十一倍の速さを出せるからな」
「十一倍か」
「鵺は十倍やけどな」
「自分は十一倍か」
「そう言うたらあいつは十二倍って言うけどな」
 この辺りライバル関係も匂わせるものがあった。
「そう言うたらわしは十三倍や」
「実際どれ位出せるねん」
「十倍やな」
 狐は自分が出せる速さの実際のものも話に出した。
「まあそれ位やな」
「十一倍やなくてか」
「大体な、それ位は出せる」
「そうか、十倍か」
「何なら石見に行く時それ位出すで」
「そこまで出さんでええわ」
 芥川は笑って狐に答えた、二人の下には多くの緑の山が連なりその間に街や田畑、道がある。日本の風景がそこにあった。
「別にな」
「そうなんか」
「ああ、こっから神戸まですぐやろ」
「この速さやとな」
「但馬は神戸のある播磨の隣国や」
「そこもすぐやしな」
「まずは但馬に行ってもええ位や」
 最初に神戸に行くよりもというのだ。
「それでもな」
「あえてやな」
「神戸の方に行ってな」
「そこから但馬か」
「ちょっと神戸の街の状況を最初に見たいしな」
「どんな発展してるかか」
「街を見るのも政や」
 芥川は確かな顔で言った。
「その現状を見てそのうえでや」
「政をするんやな」
「何処がええか何処が悪いか把握してな」
 その目で見てというのだ。
「そうしてくのも政治やからな」
「それでやな」
「神戸の街も見たい、あそこは関西の主要都市の一つや」
「都と大坂、広島それに福岡と並ぶやな」
「そや、とりわけ大事な街の一つやしな」
「うちの最大の貿易港やしな」 
 国内及び国外のだ。 
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