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夢幻水滸伝

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第四十四話 山と海その十一

「戦のこと、そして一騎打ちもです」
「専門外か」
「武力関係については」
「知らんか」
「申し訳ありませんが、一応棒術は出来ますが」
「それは出来るんか」
「ですが中里さん達程はとても」
 六将星の一人である彼とは、というのだ。
「護身程度です」
「そうなんやな」
「そうした神具も持っていませんし」
 書に人形、確かにそうだった。
「戦うことは申し訳ありませんが」
「それはええわ、各人でやるべきことをやる」
「内政も戦もですね」
「それでええ、そやからな」
「ではこれからはですね」
「財政頑張ってもらうで」
「ではお店のことが済んでから」
 一旦畳んで店で働いている者達の旅支度も整えてというのだ。
「都に向かいます、転移の術で」
「ほなな」
 こうしてだった、石川も関西の勢力に加わり財政面で働くことになった。関西はまた一人有益な人材を得た。
 中里は彼が声をかけるべき人材を全て関西の陣営に加えることが出来た。そのうえで都に戻ることにしたが。
 その彼を背に乗せて空を飛び都に戻る時にだ、鵺は彼に言った。
「上出来か」
「最高や」
 中里は自分が乗る神具に笑って答えた。
「これ以上はないまでにな」
「三人共仲間に出来てやな」
「これで関西は内政がさらに充実してな」
「日本、太平洋を統一した時もやな」
「万全の内政が出来るわ」
 彼が声をかけた人材達が専門とする農業、林業、財政の分野でというのだ。
「それが凄い力になるで」
「そやから最高やっていうんやな」
「そや、ただな」
「ただ?」
「いや、都に帰ったらもう綾乃ちゃんと芥川が帰ってるか」
「それはやな」
「どうやろな」
 このことについても考えるのだった。
「大した話やないけどな」
「太宰はおるけどな」
「あいつが都におらなな」
 宰相である彼がというのだ。
「やっぱり話にならんわ」
「内政が出来んな」
「外交もな、政はやっぱりあいつや」
「うちになくてはならん人材やな」
「あいつは蕭何っていうけどな」
 漢の丞相であった人物だ、劉邦の天下統一と王朝の確立にこれ以上はないまでの貢献を果たしたことで知られている。
「ほんまやな」
「その評価通りのことしてるな」
「九州との戦でも常にものがあった」
 兵糧、そして武器弾薬がだ。人員にも困らなかった。
「後ろはあいつがおったらや」
「出来るな」
「ああ、その太宰がおる都にな」
「今から戻るか」
「そうするわ」
 こう言ってだった、中里は都に戻った。すると既に志賀と田中がいた。そして太宰もいて彼に言ってきた。
「よくぞ彼等を迎え入れてくれました」
「いやいや、これが仕事やさかいな」
「これで農民、樵、財政家にです」
 太宰は志賀と田中を見つつ中里に話した、まだここにはいない石川の話もした。 
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