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夢幻水滸伝

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第四十四話 山と海その十

「大きな目的を抱いておられその為の政も考えておられます」
「そこまで見てくれたか」
「大きいですね」
 石川は中里に笑って応えた。
「やりがいがありそうなお仕事です」
「その返事よしってことやな」
「はい」
 その通りだとだ、石川は中里に答えた。
「是非共、ただ身分を明かさずにお聞きしてです」
「僕等を試したことはか」
「そうした行為は謝罪します」
 石川は中里に頭を下げて謝罪した。
「申し訳ありません」
「それはええわ」
「宜しいのですか」
「そや、胡散臭い勢力かどうか見極めるのは当然や」
 その勢力が誘いをかけてきてもというのだ。
「自分が入るからにはな」
「だからですか」
「見極めんとするのは当然や、むしろそこまでする奴やからこそ期待出来る」
 中里は自分に謝罪した石川に笑って言った。
「頭がええな、ほなな」
「はい、これよりですね」
「都で財政やってもらうで」
「わかりました、では店の者はそのままです」
「官吏に雇ってか」
「働いてもらうということで」
「勝手知った連中やからやな」
 官吏にと石川が言う理由は中里もわかった、そうした者達と共に仕事をすれば確かにやりやすいものがある。
「それでやな」
「はい、そうです」
「そやな、僕から綾乃ちゃんに聞くな」
 貝殻で聞くと即諾だった。
「ええって言うてるわ」
「それでは」
「そや、ほな今からやな」
「店は閉まってです」
「都に入ってそのうえで」
「財政をやらせてもらいます」
 是非にという返事だった。
「そうさせてもらいます」
「ほなな」
「では私はこれからは」
「その力頼むで」
「神具と共に役立たせてもらいます」
「そや、自分の神具は何や」
「はい、まずはこの書です」
 一冊の書を出してきた、温知政要と書いてある。
「経営のことは全て書いてありしかも知力政治力をかなり上げてくれます」
「そうした書か」
「そしてこの人形です」
 次は小さな福助を思わせる人形を出してきた。
「少名毘古那といいます、喋り私に素晴らしい助言を与えてくれます」
「あの神様かいな」
 中里は石川の話を聞いてすぐに察した。
「大国主の」
「はい、あの神様の名前ですが」
「人形やな」
「そうなのです」
「はい、そうです」 
 その人形も言ってきた、かなり高い男の声だ。
「私は石川さんの神具でして」
「助言する人形やな」
「自分で考えまして」
 そしてというのだ。
「それで助言をするのが役割です」
「そうなんやな」
「気付いたことを注意したりして」
「財政のこととかでやな」
「そうなのです、戦等は専門外ですが」
「私はそちらは知らないです」
 そうだとだ、石川も言ってきた。 
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