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夢幻水滸伝

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第四十四話 山と海その九

「こっちにな」
「やはりそうですか」
「察しが早いな、自分」
「実は旦那様が何時かはそうした話が自分に来ると言われてました」
「そうなんか」
「それで遂にですね」
「僕が来たんや」
 オグルの店員に確かな声で答えた。
「誘いをかけにな」
「そしてですね」
「その力使わせてもらいたい」
「関西が日本を制覇する為に」
「ははは、それは小さいな」
 中里はオグルの言葉を聞いてすぐに笑って返した。
「日本制覇やと」
「小さいか」
「小さい小さい、日本制覇やなくて統一やな」
「そこも違いますか」
「制覇って武力だけやろ」
 そうしたもので一つにするというのだ。
「経済も一つにして一つの国として治めてや」
「内政もですか」
「そや、農業も商業も林業も漁業もでや」
「財政もですか」
「全部や」
 政の全てをというのだ。
「一つにして治める、確かに武力を使うけどや」
「武力によく制覇ではなく」
「そもそも武力は手段の一つやろ」
 それに過ぎないとだ、中里はスコーンに言い切った。
「所詮はな、政でこちらに迎えられるならな」
「それでよし、ですか」
「戦は金もかかるし人手もかかる、よおさんの人間が死ぬ」
 この世界では蘇らせることが出来るにしてもだ。
「それやったらせんに越したことはない、そしてな」
「一つにした国をですか」
「今も内政はしてるしな」
「治め豊かにする」
「財政の面でもな、そして日本だけやないで」
 中里は笑みを浮かべてだった、スコーンにさらに話した。
「これから太平洋での戦がある」
「日本を統一した後で」
「その戦に勝つ為に財政もしっかりさせて豊かで健全な国にしてな」
 財政面でもというのだ。
「そしてや」
「太平洋を統一する戦に勝って太平洋を一つにしたらな」
「広大な四十億もの民がいるという太平洋をですね」
「治めるんや」
「財政でもですか」
「そしてそこからさらに世界を一つにして」
 そうしてというのだ。
「世界も救う、その為にな」
「星の人の力が必要であり」
「ここにおる星の奴を誘いに来たんや」
「そうだったのですか」
「そや、自分をな」
 中里は笑ってスコーン、彼の目を見て告げた。
「石川晋作、自分をな」
「もうおわかりでしたか」
「わかるわ、もう自分がスコーンってことは聞いてたわ」
 この種族の者であることはというのだ、この世界にいる人間の種族の一つで元々はドワーフ等と同じく地下を寝床にしていた。痩せて背が高めで基本は鍛冶や技術に秀でた種族である。
「それに目の光も気も違う」
「それで私が星の者とですね」
「見てすぐにわかったわ」
「そうでしたか」
「まずは僕等の考えを聞いたんやな」
「はい、若し下らないそれこそ日本制覇程度ならです」
 そのスコーン、石川は中里にはっきりとした声で答えた。
「私はそのままです」
「店の者としてやな」
「お話をお聞きしただけで、です」
「終わってやな」
「帰ってもらってました」
「そやったんやな」
「しかし日本制覇どころか」
 石川が言う小さなものではなく、というのだ。 
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