夢幻水滸伝
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第四十四話 山と海その六
「どの様な木も瞬く間に切ってしまい」
「そして敵もやな」
「薙ぎ倒せます」
「ほなその鉞でや」
「戦も出来ます、ですが」
「それでも自分は基本はか」
「自分でも林業の人間だと思います」
戦よりもというのだ。
「ですから」
「それでやな」
「はい、戦とあれば馳せ参じますが」
「基本はやな」
「内政担当ですね」
「林業専門のな」
中里もこのことを保証した。
「それで頼むで」
「わかりました」
田中は中里の言葉に頷いた、そしてだった。
一行は村まですぐに戻った、木は村の端に置き田中は村人達と一時の別れを告げてすぐに都に向かった。
中里は自身が誘うべき星の者を二人仲間にして都に送ることが出来た、だが彼の為すべきことはまだあった。
それでだ、田中が都に行くのを見届けてから鵺に言った。
「ほな次や」
「三人目やな」
「そや、今度は岡山に行くわ」
「岡山か」
「そこに凄い財政家がおるけどな」
「そいつが星の奴やからな」
「そいつのところに行くわ」
こう鵺に話した。
「次はな」
「よし、ほなな」
「今から行くで」
「岡山か、わし的にはな」
ここで岡山についてこう述べた鵺だった。
「ママカリやな」
「魚ではやな」
「それで果物やとマスカットと桃や」
「その二つも有名やな」
「あと何というても黍団子やな」
これもあるというのだ、岡山は。
「そうのやな」
「つまりそういうの食いたいんか」
「そや、ついでに食うか」
「僕もそのつもりやった」
中里は鵺に笑って答えた。
「同じこと考えとったわ」
「そうか、流石わしの主やな」
「僕の神具やな」
「気が合うわ」
「ほんまにな、ほなな」
「岡山にな」
「行こうな」
二人でこう話してだった、中里は鵺の背に乗り鵺もそれを受けて吉野の村から今度は岡山に向かった。
吉野から岡山までは遠い、だが鵺の飛ぶ速さを以てしてみればすぐであり中里は今は下に広がる瀬戸内の海を見て鵺に言った。
「この海はほんま幸が多い海やな」
「そやな、色々なもんが獲れるからな」
「魚も貝もな」
「色々獲れるな」
「ええとこや、しかし財政家で岡山か」
「備前のな」
この国のというのだ。
「そこにおるんや」
「そうか、堺とか都とか大坂やなくてか」
「そいつは岡山におるんや」
この場所にというのだ。
「神戸でもなくな」
「そうか、岡山も栄えてるけどな」
「財政家がおるにはか」
「何かピンとこんな」
「そうか、しかしな」
「それでもやな」
「そいつは岡山におるからや」
それでというのだ。
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