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夢幻水滸伝

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第四十四話 山と海その七

「今から行くで」
「わかったわ、ほなな」
「大工と建築士、警官と坑夫と鍛冶屋あと牧童か」
「酪農もやな」
「そういうのは芥川と綾乃ちゃんが行ってる」
「合わせて六人か」
「三人ずつでな」
「十一人も内政専門が必要か」
 鵺はしみじみとした口調で言った。
「星のモンが」
「そや、本気で天下そして太平洋を統治しようと思ったらな」
「太宰がそう見てるんやな」
「うちの宰相がな」
「あいつは政治家や」 
 その職業も言った鵺だった。
「そやからな」
「内政についてもな」
「あいつの言うことで間違いない」
「そうやろ、そやからな」
「内政を出来る奴をか」
「今は揃えるんや」
 中里は鵺に強い声で言った。
「それで僕もな」
「その通りやって思ってか」
「また行くで」」
「今度は岡山か」
「そや、桃もマスカットも黍団子もママカリも食うけどな」
「星の奴をな」
「仲間に入れるんや」
 是非にというのだ。
「そうするで」
「今度は財政か」
「国のそれを担える奴を入れるんや」
「お金がないのは命がないのと同じ」
 こんなことも言った鵺だった。
「そうも言うしな」
「おもろい言葉知ってるな」
「お金がないのはあらゆる不幸のはじまりとも言うな」
「それはイスラエルから来た奴が言うとったわ」
 中里は八条学園の中にいるイスラエルからの留学生の言葉を思い出した、この学園にはこの国からの留学生や先生も来ているのだ。
「お金がないと本当に不幸やってな」
「ほんまに言うてるんやな」
「そや、あっちのタルードって本で書いてるらしい」
「それでか」
「向こうはお金を集めるのと管理に必死でな」
「実際に必死に管理してるんやな」
「そうらしい、それでうちもや」 
 関西の勢力もというのだ。
「然るべき財政家を加えてな」
「財政をしっかりする様にするか」
「管理も使い方もな」
「しっかりしてくか」
「そうするわ、これから商売は中原がやってな」
 商人である彼がというのだ。
「それでや」
「財政はか」
「そいつにしてもらう」
「そうなるか」
「そやから勢力の要職や」
「それを任せるか」
「その為の人材勧誘や」
 こう言ってだ、中里は吉野から岡山まで一直線に進んだ、瀬戸内の海の上を進んで瞬く間にであった。
 備前にある岡山、岡山城があるそこに入った。鵺は立派な岡山城を見つつ己の背から降り立った中里に言った。
「ほな今からやな」
「そいつのとこに行くで」
「ママカリとかは後か」
「そいつ仲間にしてからや」
 それからと答えた中里だった。
「それからや」
「やっぱりそうか」
「仕事してからやないとな」
「やっぱりあかんか」
「そやろ、まあ後で幾らでも食えるわ」
 岡山の名物はというのだ。 
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