夢幻水滸伝
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第四十四話 山と海その一
第四十四話 山と海
中里と鵺は吉野に着いた、そしてその目の前に広がる木々を見てだった。中里は鵺に唸った顔で言った。
「めっちゃ多いな」
「これだけあったらな」
鵺もその木々を見て言う。
「木材幾らでも取れるな」
「薪でも何でもな」
「そうやな、それでな」
「ここにやな」
「星の奴がおるんや」
鵺は中里に言った。
「わし等がこれから会うな」
「田中秀一がな」
「下の名前もわかってるんやな」
「太宰が知ってた」
今回の人材登用の話を言った彼がというのだ。
「それで教えてもらった」
「成程な、流石は太宰やな」
「そやろ、ほなな」
「今からその田中に会うか」
「そうするわ、あいつがおるのはや」
そこはというと。
「この近くの村や」
「そうか、ほなすぐやな」
「そこに行ってな」
そうしてというのだ。
「会うで」
「わかったわ、ただな」
「ただ?」
「何かな」
ここでこう言った鵺だった。
「樵の神具ってな」
「斧か」
「それしか思いつかんけどな」
「多分それやろな」
中里もそうしたものかと考えつつ鵺に応えた。
「樵いうたらやっぱり斧か鋸やろ」
「その二つやからな」
「それやろな、武器にもなるええ道具や」
斧はただ木を切ったり薪を割るだけではない、武器として戦っても相当に強力でその為西洋や中国ではバトルアックスや大斧といったものがあるのだ。
「ほなな」
「田中っていう奴の神具は斧やな」
「それか鋸やろな」
「どっちかか」
「人の星やしどっちかや」
どの星なのかももうわかっていた。
「人遂星らしい、ちなみに志賀は地短星やった」
「あいつはそっちの星やったか」
「そうや、それでその人遂星にや」
その彼にというのだ。
「会ってそしてな」
「話をしてやな」
「仲間にしよな」
「よし、行こうな」
二人は森の前から村に向かった、村は実際に近くにあった。
その村に入りだ、中里はすぐに近くを通ったコボルトの村人に聞いた。
「田中秀一って奴知ってるか?」
「ああ、田中さんですか」
コボルトは彼にすぐに応えた。
「あの人なら今はあの山にいますわ」
「あそこか」
「はい、あそこです」
コボルトは中里に近所の村を指差して話した。
「あそこの山に入って木を切ってます」
「そうか、ほな今から会いに行くわ」
「貴方確か中里さんですね」
「そや、実はあいつをこっちの陣営に迎え入れに来たんや」
中里は自分を知っているコボルトに答えた。
「関西のな」
「えっ、ほな田中さん樵からお役人になるんですか」
「そうなるな、それでもええか?」
「ええ樵なんですけど」
コボルトは中里に残念そうな顔で述べた。
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