八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十五話 夏の終わりの海その十六
「そうなるんだ」
「明石から」
「関西で一番有名な水あげの場所でね」
昔から明石はそれで有名だ、あげられるのは蛸だけじゃなくて他の魚介類もそうだ。特に鱧が有名だ。
「蛸なんか凄いよ」
「では明石に行けば」
ジョーンさんは僕に聞いてきた。
「美味しい蛸が」
「他の魚介類もね」
「食べられますのね」
「そうだよ、ただこの神戸や大阪はすぐだけれど」
その明石からだ、もっと言えば神戸も大阪も直接新鮮な海の幸を手に入れることが出来ていた。
「京都は違っていたんだ」
「遠いですわね」
「冷凍技術もなかったしね」
このことが大きかった。
「だから新鮮なお魚とかなかったんだ」
「それは仕方ないですわね」
「鱧はあそこまでもったから食べられたけれどね」
この魚だけは別だった。
「他の新鮮なお魚はなかったんだ」
「では源氏の君も」
「お刺身とかは食べていないよ」
「海のそれはですわね」
「なかったよ、須磨では食べていたかも知れないけれど」
この世の果てと思っていたその地ではだ、じゃあ須磨から西特に天神様が行った大宰府は何なのかと思う。
「都、京都にいた時はね」
「召し上がっていないのですね」
「絶対にね、たこ焼きなんてね」
「なかったですわね」
「うん、なかったよ」
笑ってジョーンさんに話した。
「たこ焼きが出来たのは二十世紀だから」
「案外早いですわね」
「お好み焼きや焼きそばもね」
「そうしたお料理もですの」
「そうだよ、本当にね」
「そうしたお料理は案外最近ですのね」
出て来たのはとだ、ジョーンさんも言った。
「少し意外ですわ」
「平安時代は有り得ないにしてももっと古いと思ってたんだね」
「明治の頃からだと」
「昭和みたいだよ」
「たこ焼きもお好み焼きも」
「うん、じゃあそのたこ焼きをね」
今から三人で食べに行こうとだ、僕はエリザさんの提案に従ってそのエリザさんとジョーンさんと一緒にたこ焼きを食べに行った。その実は比較的新しい大阪名物の食べものを楽しむ為に。
第百四十五話 完
2017・6・24
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