| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百四十五話 夏の終わりの海その十五

「楽しみですわ」
「そこまで気に入ったんだ」
「わたくしも」
「まああれ嫌いな人はあまりいないかな」
 外国から来た人も一度食べるとだ。
「手軽に食べられるし。総帥さんもお好きだし」
「八条家の」
「そう、あの人もね」
 エリザさんに答えた。
「海鮮もの、川のものも好きだけれど」
「たこ焼きも好きなの」
「そうなんです」
「大金持ちのお家の主なのに」
「別にそういうのこだわらない家なんで」
 美味しければ何でもだ、庶民的な料理だのお金持ちの料理だのというのよりも味重視が八条家だ。
「それで総帥さんもです」
「あの人もたこ焼きが好き」
「そうなんです」
「成程」
「親父も今イタリアですけれど」
 ジェノヴァだ、文字通りの海の街だ。
「あそこでも蛸を食べていて」
「たこ焼きも」
「何かわざわざ日本からタコ焼き機を持って行って」
 僕が気付かない間にそうしていた。
「それで作って食べてます」
「そこまでしてるの」
「そうです、親父料理出来ますから」
 自分で作って自分で食べることもよくしている、そうじゃなくても僕の食事はいつも用意してくれていた。
「ですから」
「たこ焼きもなの」
「あっちで作っています」
 実際にそうして時々食べているらしい。
「それで飲んでもいるとか」
「ビール?」
「いえ、白ワインだとか」
 親父曰くたこ焼きの時はそちらのお酒とのことだ。
「ビールもいいですが」
「白ワインの方がいいの」
「そう言って」
 味もあと痛風にも気を付けてというのだ。
「それを飲んでます」
「たこ焼きの時は」
「日本でもそうでした」
「そうなの、ビールじゃなくて」
「親父はそっちです」
「それもわかったわ、じゃあ今から」
 エリザさんが先に言った。
「行きましょう」
「その屋台のお店にですね」
「そして食べよう」
「わかりました」
「では」 
 僕だけでなくジョーンさんも答えてだ、そしてだった。
 僕達は三人で砂浜を後にすることにした、けれど。
 そこでまた海を見てだ、僕はまた言った。
「瀬戸内海にも蛸いるんだよね」
「そうですわね」
「この海にもね」
 こうエリザさんに話した。
「いてそしてね」
「捕まえて、ですわね」
「食べているんだ」
 そのたこ焼きにしてだ。
「明石とかに水あげされて」
「そこからですわね」
「市場に出回るんだ」
 その蛸達がだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧