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夢幻水滸伝

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第四十三話 内政の人材その九

「僕は有名人か」
「多くの戦に勝たれた名将だとも」
「それは部将や足軽、あと芥川達のお陰や」
「いえいえ、勇猛で采配も上手やと」
「そうやとええけどな」
「少なくとも星の方々はこの国の誰でも皆さん知ってますよ」
 ハークオークは中里にさらに話した。
「特に神星の方々は」
「僕も含めてか」
「特に棟梁であられる姫巫女様は」
「綾乃ちゃんは当然やな」
「そうですね、それで姫巫女様からですか」
「そや、言い出したのは太宰やけどな」
 それを良しとして認めたのは綾乃だとだ、中里は答えた。あの時綾乃は特に何も言っていなかったが彼女自身星達を自身の陣営に加える為に動いているので賛成していることは誰が見ても明らかである。
「綾乃ちゃんもよし、やで」
「そうですか、姫巫女様のご高名と志は常に窺っています」
 ハーフオークは中里に謙虚な態度で答えた。
「日本、そして太平洋を統一されてですね」
「最後は世界を統一してや」
「そのうえで世界を救われる」
「そう考えてるで、本気でな」
「そしてその為にですね」
「自分の力が必要やねん」
 中里はハーフオークに強い声で言った。
「志賀徹っていう人間の力がな」
「有り難いお言葉です」
 そのハーフオーク志賀は中里に謙虚な言葉で答えた。
「僕なぞに、では」
「ああ、それで返事は」
「正直信じられませんが」
「信じられん?」
「はい、私の様な者に誘いを仕掛けて頂けるなぞです」
 とてもというのだ。
「感無量です、では」
「それではか」
「宜しくお願いします」
「そう言ってくれて何よりや」
 中里は志賀の返事に満面の笑顔になりそうして両手で志賀の土だらけの右手を握った、志賀も応えもう一方の手を添えた。
 こうして二人は両手で握手し合い仲間となった、それが終わってからだった。
 志賀は周りの農民達、様々な種族である彼等に自身の事情を話した。
「僕はこれから都で姫巫女様をお助けすることになったので」
「だからですか」
「ここを去られますか」
「そうなるんですね」
「はい、ですがこちらには時々でも帰らせて頂きます」
 こう農民達に話した。
「お屋敷はそのままにしていますので」
「ではです」
「お屋敷のことはお任せ下さい」
「我々がいつも奇麗にしておきます」
 農民の中から幾人かが言ってきた。
「そうしておきますので」
「安心して何時でも帰ってきて下さい」
「お待ちしています」
「それでは」
「この人等は自分の屋敷の使用人さん達か?」 
 中里はその農民達を見て志賀に問うた。
「そうなんか?」
「いえ、同居していますが」
「使用人やないんか」
「はい、そうです」
 そうした関係だというのだ。
「僕はこの村の農業の先生といいますか」
「そうしたことをやってたんやな」
「大和全体の」
「二宮尊徳さんみたいなことしてたんか」
「あの方程立派ではないですが」 
 謙遜して答える志賀だった。
「そうでしょうか、お屋敷はある庄屋さんに譲って頂きました」
「それで住んでるんか」
「はい、そうさせてもらっています」
「そうか、それで自分の農業への力をな」
「世界の発展の為にですね」
「国も民も豊かにする為にな」
 その両方の為にというのだ。
「使ってもらうで」
「喜んで」
「いや、まさかこんなにあっさりとな」
 中里は志賀の快諾に笑顔で言った。 
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