夢幻水滸伝
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第四十三話 内政の人材その十
「来てくれるなんてな」
「以前からご高名を聞いていまして」
「それで綾乃ちゃんのよさを知っててやな」
「はい、勿論中里さんについても」
「僕は戦うだけやで」
「政もされてますね」
「あまりやで」
少なくとも自分はそこまで自覚がない、内政をしていることは自分ではあまりないと考えているからだ。
「正直な」
「的確にされてますよ」
「そやとええけどな」
「農業も商業も」
「そうなんか」
「はい、その中里さんにお声をかけても頂きましたし」
神星である彼にというのだ。
「嬉しく思いまして」
「それでやな」
「宜しくお願いします」
「ほなな、じゃあすぐに都に行ってもらうか」
「用意を済ませてですね」
「術は使えるな」
「まだ全ての術ではないですが」
それでもと答えた志賀だった。
「転移の術位なら」
「ほなその術でな」
「都に赴きそのうえで」
「綾乃ちゃんに、おっと綾乃ちゃんは今はな」
「姫巫女様ご自身もですね」
志賀は関西弁のニュアンスの敬語で応えた、その口調は実に柔らかい。
「人材を手に入れる為に動かれてますね」
「そうや、それでや」
「今は都におられないですか」
「太宰がおるわ、まああいつは堅苦しいけどええ奴や」
その彼にというのだ。
「あいつに挨拶してな」
「そうしてですね」
「働いてもらうか」
「わかりました、ではまずは西国の農業をですね」
「根本からよくしてもらうで」
「及ばずながら」
志賀は中里に笑顔で応えた、そうしてだった。
志賀はさらにだった、中里に言ってきた。
「僕だけでなくですね」
「そや、他にもや」
「色々な人材に誘いをかけられていきますか」
「そうしてくのが今の僕の仕事や」
こう志賀に答えた。
「僕の受け持ちは自分と他の二人や」
「その二人の中に吉野の田中君もいますね」
「ああ、知ってるんか」
「はい、林業の専門家ですね」
「樵でな」
「わかりました、田中君でしたら私も懇意なので」
「仲ええんか」
中里は志賀の言葉からこのことを理解した。
「自分等」
「同じ農学部ですから。学科は違いますが」
「ああ、農学部は幾つか学科があるからな」
「はい、僕は栽培畜産科で栽培専攻で」
まずは自分のことを話した志賀だった。
「そして彼は林業です」
「樵だけあってやな」
「一年生ですが部活が同じでして」
「それで知り合いでか」
「仲がいいのです」
そうだというのだ。
「実は」
「そうやったんか」
「サッカー部で」
「ああ、自分サッカー部か」
「そうなのです」
志賀は名k里に微笑んで話した。
「それで知り合いでして」
「今も言えるんやな」
「その田中君にもですね」
「声かけに行くわ」
今度は吉野に行ってというのだ。
「そうするわ」
「そうなのですね、それで田中君のことはお聞きしているでしょうか」
「林業については右に出る奴はおらんで」
中里はすぐに志賀に応え太宰から聞いた田中のことを話した。
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