夢幻水滸伝
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第四十三話 内政の人材その八
「まさに用意周到やな」
「ほんまにな、ほなな」
「今からやな」
「行くで」
その志賀のところにと話してだ、二人で一緒に彼の屋敷の方に向かった。屋敷の場所もわかっていたのだ。
そして彼の屋敷の傍まで行くとだ、鵺は中里に言った。
「田畑の方に行こうな」
「そこに志賀がおるんやな」
「そや、今は昼やろ」
丁度昼飯前の頃である。
「それやったらな」
「農民やったらな」
「田畑で働いてるわ」
その時間だというのだ。
「田んぼ見てるかあぜ道とかなおしてるか畑におるか」
「どれかやな」
「とにかく田畑におってや」
そしてというのだ。
「働いてるわ」
「そうしてるねんな」
「それでや」
「ここはやな」
「田畑に行ってや」
そうしてというのだ。
「志賀に会おうな」
「そやな、自分でもせっせと農業するタイプらしいし」
「働き者やねんな」
「例の四人と違ってな」
瑠璃子達のことであることは言うまでもない。
「働き者や」
「それはええことや」
「そやな、農業は働き者やないとな」
「務まらんわ」
そうした世界だというのだ、農業は。
「ほんまにな」
「それでやその志賀もや」
「今は田畑におる」
「しかも天気もええ」
上を見上げると快晴だ、実に天気がいい。
「それやったら間違いないわ」
「その通りやな、ほなな」
「今からな」
「田畑に行こうな」
こう話してそしてだった、二人は屋敷その見事な大きさの昔の日本の造りのそれを素通りしてそのうえでだった。
田畑の方に行った、すると多くの農民達に温厚かつあれこれと細かく指導しつつ自分もせっせと働いている農民の服を着たハーフオーク、オークの顔をより人間に近くした顔を持っていて背は人間位で体格もそうした感じの毛深い男を見てだった。中里は鵺に言った。
「あいつがやな」
「その志賀やな」
「間違いないわ、あそこにおるハーフオークは一人や」
それでというのだ。
「あいつに間違いないわ」
「そうか、ほなな」
「今からあいつと話をしよか」
「それやったらな」
こう話してだった、二人はそのハーフオークのところに来た、するとハーフオークの方から言ってきた。
「まさかと思いますけど」
「何や、僕等のこと知ってるんか」
「関西の神星のお一人中里雄一さんと神具の鵺さんですね」
「そや」
「その通りや」
二人でハーフオークに答えた。
「わし等はその通りや」
「神星やで」
「そうですね、お二人も他の方も有名人ですので」
「そうやったんやな」
中里はハーフオークに自覚がない声で応えた。
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