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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十三話 髑髏検校その七

「人間を知れば」
「それだけですね」
「多くの糧になります」
「糧ですか」
「人としての」
 僕にまた話してくれた。
「そうしたものなので」
「わかりました、じゃあ学んでいきます」
「そうされて下さい」
「はい、しかしホラー小説もそうした糧になるんですね」
「この世のあらゆるものが糧になりますので」
「漫画でもゲームでもですね」
「人生とはです」
 畑中さんは糧により形成されるそれのこと自体も話してくれた。
「無駄と言われる様なものから形成されるともです」
「お考えですか」
「若い頃に言われました」
「そうだったんですか」
「修行や学問も必要です」 
 文武のそれはというのだ。
「確かに。ですが」
「無駄なものもですか」
「俗に言う遊びですね」
「小説を読むことも遊びで」
「漫画やゲームもです」 
 そうしたものを読んだりしてもというのだ。
「糧になります」
「だから漫画を読むこともですか」
「いいのです」
「そうなんですね」
「学校の勉強やスポーツも大事ですが」
「遊びもですか」
「大事です、酒に女に博打といいますが」
 うちの親父みたいだと思った、とはいっても親父はギャンブルについてはのめり込んだら終わりだと言ってやらない。僕もそれは同じだ。
「そうしたことからもです」
「糧は得られますか」
「それを学べます、ただ」
「ただ?」
「遊びは楽しむものですね」
「はい」
 他に答え様がなかった、だからこう答えた。
「その通りですね」
「そうです、楽しむことはいいことですが」
 それでもというのだ。
「溺れることはです」
「のめり込んで、ですね」
「それなしではいられなくなるまでになることはです」
「駄目ですか」
「お水に溺れてもそうですね」
「下手したら死にますね」
「ですから溺れないことです」
 何といってもというのだ。
「それが大事です」
「溺れたら死にますか」
「糧を得られるどころか」
「だからですか」
「楽しまれて下さい」 
 溺れずにというのだ。
「遊び、そして他のことも」
「絶対にですね」
「そして手を出してはいけないことうは」
「そういうことはですね」
「つまり麻薬等ですね」
 畑中さんはそうしたものは駄目だと言う、考えずとも手を出せばとんでもないことになるから当然だ。
「そうしたことは手を出したら」
「恐ろしいことになりますので」
「覚醒剤中毒ですね、親父も言ってました」
 覚醒剤をやって人がどんなことになるかだ、それこそ怪奇小説よりもずっと怖い話だった。
「あれは手を出したら」
「心身が崩壊します」
「人間を止めてしまいますね」
「先程とは違った意味で」
「廃人ですね」
「文字通りそうなってしまいます」
 まさに人間を止めたことになる、歯がボロボロになり総入れ歯になってその入れ歯から何かが聞こえるとか言っている話を親父から聞いてから何でそんなものに手を出す人がいるか不思議で仕方ない。 
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