夢幻水滸伝
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第四十一話 耳川の合戦その五
「つまり後ろの三方から攻められる」
「誘きだされてやな」
「そして又吉君が率いる誘き出した前の軍勢もな」
彼等はというと。
「その時は反転して攻めて来る、そして正面からはさらにや」
「北原が率いる敵の主力がやな」
「来るで、そうして一気に攻めてな」
「こっちを散々に叩くつもりやな」
「それが連中の考えや」
「完璧なまでの奇襲やな」
中里は頭の中で自軍と敵軍の動き、それも敵の攻めが成功した場合を描いてそのうえで芥川に答えた。
「成功したらこっちは惨敗や」
「こっちの世界の耳川の戦みたいにな」
「そうなるな」
「十万の兵も徹底的に叩かれるで」
若し敵の奇襲が成功したならばだ。
「下手したら半分以上の戦力を失う」
「そうなったら九州支配も吹き飛ぶな」
「これまで手に入れたものもな」
「全部や、そやからやな」
「敵の策を破る策を用意しておいたんや」
まさにそれをというのだ。
「そやからな」
「あえてやな」
「敵の策にかかるで」
「そしてやな」
「そこでやったるんや」
その行動をというのだ。
「ええな」
「わかった、ほなな」
「まず雪路ちゃん達の軍勢は無視や」
対応を一切取らないというのだ。
「気付かんふりをするんや」
「気付かんやな」
「そや、そして前から来る軍政にや」
又吉が率いるそれにというのだ。
「かかるで」
「攻められて怒ってやな」
「全軍で攻めに移る」
「そうするか、しかしな」
「しかし?」
「いや、本国から援軍二万呼んだやろ」
ここで兵のことを言った中里だった。
「術使える奴を多くな」
「それか」
「それでここに来てよかったな」
「そやな、今回の戦は術を念頭に置いてな」
そのうえでとだ、芥川も答える。
「考えたしな」
「術あってやな」
「術があってこそや」
「鉄砲だけやなくて」
「それもあってや」
「今回の策もあるな」
こう芥川に話した。
「そやな」
「そや、そやからな」
「今回はやな」
「術で思いきりや」
「戦うか」
「あるものの中で使えるものは全部全力で使う」
「戦に勝つ秘訣やな」
「そのうちの一つや」
その秘訣の一つだというのだ。
「まさにな」
「それで術使える兵を多く援軍に来てもらったか」
「足軽が主力や」
このことは日本のどの勢力も同じだ、他の国では歩兵となる。歩兵が軍の主力であることは陸の軍勢ならば何時の時代も変わらないことだ。
「そやけどな」
「この世界の兵は足軽だけやない」
「そやからな」
「術を使える兵を持って来て」
「そのうえで戦うのが今度の戦や」
「この世界はあらゆる力があるからな」
所謂科学だけではない、魔術もあれば錬金術もあれば超能力もある。そうした様々な力が存在している世界なのだ。
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