夢幻水滸伝
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第四十話 高城への進軍その六
「ちょっと飲んであかん様になる」
「そこまで弱くてやな」
「ほんまに下戸やったんや」
「そうした体質やってんな」
「そやけど綾乃ちゃんはな」
彼女はというと。
「ああしてや」
「幾らでも飲めるねんな」
「僕等以上にな」
今軍勢を聞いている面々の誰よりもというのだ。
「あの娘は飲むからな」
「そうした体質やってことやな」
「さっきも話に出たけどザルや」
酒に酔わない体質だというのだ。
「それであそこまで飲めるねん」
「そういうことやな」
「それで綾乃ちゃんが都におってな」
そこで本拠地を守り政を行っていてというのだ。
「関西はかなり治まってるで」
「僕等がこうして戦をしていてもやな」
「そや、関西だけやなくて山陽、四国もな」
「山陰もやな」
「自分が完全に領土にしたな」
中里の最初の出陣の時のことも話すのだった。
「あの時でな」
「それでやな」
「そや、そうしたところもな」
全てというのだ。
「綾乃ちゃんがおって太宰と弥生ちゃんもおってな」
「無事に治まってるな」
「新たに領土にしていったところも治まってるわ」
「それはここもやな」
中里はその目の光を強くさせて芥川に尋ねた。
「そやな」
「その通りや、今こうして戦をしてる最中にもな」
「政が行われてるんやな」
「そうなってきてるわ」
「九州の領土化も進んでるんやな」
戦と並行してとだ、中里はこのことも認識した。
「そやねんな」
「そういうこっちゃ、そして九州の政はな」
「僕等が耳川で勝ってやな」
「確かになる」
そうなるというのだ。
「それだけに次の戦は勝たなあかんさいな」
「その勝ち方はやな」
「もう僕の頭にあるわ、はっきり言うたら人間の考える作戦に無敵の作戦はない」
はっきりとだ、芥川は中里に言い切った。
「そんなものはな」
「ないな」
「そや、必ず穴がある」
「そしてその穴を衝いて勝つものやな」
「それが戦や、そやからな」
「今夜にやな」
「全部話すわ」
こう話してだ、実際に芥川は夜の軍議で星の者達に己の策を全て話した、その話を全て聞き終えてだった。
最初に言ったのは玲子だった、彼女はこう芥川に言った。
「あたしはあえてだね」
「自分らしさを出してな」
そうしてとだ、芥川も話した。
「やってもらうで」
「わかったよ、じゃあ攻めさせてもらうよ」
「そういう風にな」
「そこからはじまるからね」
「それでや、自分もや」
芥川は今度は中里に顔を向けて彼に話した。
「玲子ちゃんに続いてな」
「玲子ちゃんを孤立させん為にやな」
「二人と一緒に進んでもらう」
井伏と山本を見ての言葉だ。
「そうしてもらうで」
「わかったわ」
「二人は頭に血が登ってもらうで」
芥川はその井伏と山本に話した。
「そうした感じで動いてもらうで」
「わかったわ」
「そうさせてもらうけんのう」
二人はそれぞれ芥川に答えた。
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