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夢幻水滸伝

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第三十九話 熊本城孤立その十五

「それや」
「やっぱりそうなるか」
「そや、若し領地にせんかったらな」
 そうした場合はというと。
「別に軍税を取り立ててもええ」
「流石に略奪はなしでもやな」
「やる勢力もあるけどな」
 領地にしない地域に攻め込んだ場合にだ、中にはこうしたお世辞にも褒められたことではないやり方をする勢力もあるというのだ。
「退く時に何もかも焼いて退くとかな」
「焦土戦術やな」
「それもや」
「やる勢力があるか」
「星の奴ではおらんみたいやけどな」 
 彼等が棟梁である勢力はというのだ。
「その辺りの領主とかでな」
「おるんやな」
「そやけどや、うちはな」
「そうしたことはせんな」
「絶対にや」
 そこはというのだ。
「僕等も嫌いやしな」
「太宰は絶対に許さんな」
「何よりも綾乃ちゃんがや」
 棟梁である彼女がというのだ。
「そうしたことが嫌いや」
「それでやな」
「そうや、そうしたところがな」
「嫌いでや」 
 綾乃の性格でというのだ。
「絶対に許さへんわ」
「それでやな」
「うちは略奪も軍税も焦土戦術もない」
「せえへんねんな」
「そや」
「軍律でも定められてるしな」
「若しここで負けてもな」
 そうなってもというのだ。
「退く時はな」
「焦土戦術はせん」
「そのまま退くか」
「領民連れ去って田畑も家も橋も焼くとかな」 
 芥川は焦土戦術の具体的な例を話した。
「そうしたら領民が困るしな」
「連れ去られて帰っても何もなくてな」
「そうなってな」
 それでというのだ。
「碌なことはないからな」
「民にとって」
「そやからせん」
 そうしたことはというのだ。
「絶対にな」
「そうやな、それでや」
「綾乃ちゃんは絶対にさせへんねんな」
「そうや、それでええな」
「わかったわ、負けてもな」
「日向の領民にも田畑にも家々にも手は出さへんで」
 そして他のものにもだ。
「そうしてや」
「豊後の府内城に戻ってやな」
「そこで勢力を蓄えてな」
 そのうえでというのだ。
「また向かうで」
「再戦か」
「勿論そうならん様にしていくけれどな」
 つまり勝つことを目指すというのだ。 
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