儚き想い、されど永遠の想い
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288部分:第二十二話 消える希望と灯る希望その一
第二十二話 消える希望と灯る希望その一
第二十二話 消える希望と灯る希望
義正の言葉にだ。真理は何とか希望を見出せた。
それでだ。あらためてだった。
義正にだ。こう言ったのだった。
「ではですね」
「今からですね」
「はい、行きましょう」
微笑みだ。自分から言ったのである。
「病院に。ですが」
「恐ろしいですか」
「はい」
微笑は消えた。そしてその顔でだ。
彼女はだ。こうも言うのだった。
「ですから」
「だからですか」
「どうしても。逃げたくなります」
そうしたいというのだ。
「今も本当に」
「ですがそれでもですね」
「行かせてもらいます」
そうするというのだ。
「あなたが一緒ですから」
「だからですね」
「はい、ですから」
それで行けるというのだ。二人で。
それを言ってだ。実際に彼女から行こうとする。
そこれでだ。さらにだった。
真理はだ。また話したのだった。
「若し子供が授かれば」
「その時はですね」
「二人で心ゆくまでお祝いしましょう」
こう言うのである。
「そうしましょう」
「そうですね。その時は」
「是非共」
そうした話をしてだった。二人は。
病院に向かおうとする。しかしだ。
その二人にだ。婆やが尋ねた。
「あの、どちらに」
「それは」
どうかとだ。真理はだ。
呼び止められ困った顔になってだ。婆やに話すのだった。
「少し」
「旦那様とお二人で行かれるのですね」
「はい」
このことはだ。素直に答えられた。
しかしだ。それでも何処に行くかは戸惑っていた。だがだ。
義正と共だからだ。婆やは落ち着いてこう言ったのだった。
「ではお二人で、です」
「二人で」
「楽しんで下さい」
そうしてくれというのである。
「そうされて下さい」
「はい。それでは」
「どういったものかはわかりませんが」
それでもだというのだ。婆やはだ。
「行かれて下さい」
「わかりました」
真理もだ。静かに答えた。
そのうえでだ。二人で病院に赴くのだった。
白い病院の建物を見る。それを見てだ。
義正がだ。言ったのだった。
「行きましょう」
「はい」
真理も頷きだ。そうして。
二人で病院に入り診察を受ける。それから数日後。
医師に呼ばれてだ。診察の結果を告げられた。それは。
「残念ですが」
「残念・・・・・・」
「といいますと」
「労咳です」
こうだ。医師は二人に告げたのだった。
「奥様ですね」
「は、はい」
真理は青ざめた顔で医師の問いに答えた。
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