儚き想い、されど永遠の想い
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287部分:第二十一話 忌まわしい咳その十
第二十一話 忌まわしい咳その十
「ですから」
「仕方ないと言って頂けますか」
「はい」
その通りだとだ。義正は答えた。
「私もそうしたでしょう」
「そうなのですか」
「ですが。これは」
「はい、わかりました」
言わずもがなだった。そこから先は。
「病院に行きます」
「私も共に」
「来て頂けるのですね」
「そうさせてもらいます」
こう答えるのだった。
「是非共」
「そうしてくれるのですか」
「いつも一緒ですから」
これが義正の返答だった。
「ですから」
「そうですか。だからこそ」
「はい。それにです」
「それに?」
「若し私が血を吐いたなら」
彼がだ。そうしたらならというのだ。
真理はどうするか。尋ねたのはこのことだった。
「あなたはどうされますか
「私ですか」
「はい、どうされますか」
「その場合は」
真理はだ。その問いにすぐに答えた。
「同じことをしたでしょう」
「そう仰いますね」
「はい、やはり」
こうだ。真理は答えた。
「いつも一緒ですから」
「だからです」
それでだとだ。義正はまた微笑んで真理に話した。
「共に行きましょう」
「だからですね」
「そうさせてもらいます。それでなのですが」
「それで?」
「はい。もうすぐしたらです」
どうなるか。それは。
「子供ができるでしょうか」
「私達の子供が」
「はい、できるでしょうか」
こう真理に尋ねたのだ。
「その子は」
「近いと思います」
真理はだ。微笑んでだ。
義正にだ。こう答えたのだった。
「その時もです」
「近いですか」
「はい、確かなものは感じませんが」
子供を宿している。その実感はないというのだ。
だがそれでもだ。落ち着いた顔でこう話した。
「感覚としてです」
「それを感じるのですね」
「はい、感じます」
そうだというのだ。
「ですから」
「ではその時を待ちましょう」
「二人で、ですね」
「はい、二人で」
まさにだ。その二人でだ。
待とうとだ。義正は微笑み話したのだった。
それを話してだ。義正は。
真理にだ。こんなことも話した。
「その幸せの時を」
「私達の世界が増えるその時」
「それを待ちましょう」
「わかりました」
微笑みだ。真理も答えたのだった。
「ではその時を」
「楽しみに」
待とうととだ。話をしてだった。
やがて海辺から離れ彼等の屋敷に戻った。そうしたのだった。
第二十一話 完
2011・8・15
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