儚き想い、されど永遠の想い
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289部分:第二十二話 消える希望と灯る希望その二
第二十二話 消える希望と灯る希望その二
「そうですが」
「残念ですが奥様は」
「労咳ですか」
「それにかかっておられます」
そうなっているというのだ。
「今のところは症状はそれ程重くはありませんが」
「しかしですか」
「はい、労咳です」
それは変わらないというのだ。
「まことに残念なことに」
「わかりました」
真理はここまで聞いてだ。
その青ざめた顔で頷きだ。そうしてだった。
そのうえでだ。医師の話を聞くのだった。
「後はです」
「はい、後は」
「養生されて下さい」
労咳が不治の病だということを前提にしての言葉だった。
「ゆっくりと」
「そうするべきですね」
「御大事にとしか」
医師もだ。暗い顔で真理に話す。
「そうされて下さい」
「わかりました」
「御主人でしたね」
医師は今度は義正に顔を向けて声をかけた。
「あの、残念ですが」
「はい、お話は聞いています」
「それではです」
「後は」
義正もだ。医師の話を聞いていた。
その医師はだ。彼にもこう話したのだった。
「奥様の御養生のです」
「助けをですね」
「そうされて下さい」
こうだ。切実に話すのだった。
「それだけです」
「わかりました」
義正もだ。静かに頷いた。
ここまで話してだ。医師は。
今度は二人にだ。こう告げたのだった。
「まだ時間は多くありますので」
「だからですね」
「今は」
「はい。幸せにお過ごし下さい」
これが二人への言葉だった。
「そうされて下さい」
「わかりました」
二人は同時に答えた。頷く動きも同じだった。
「そうします」
「一応お薬もありますので」
不治の病だがだ。それもあるのだ。
高麗人参やそうしたものだ。それもあると話してだ。
医師の話は終わった。それからだった。
二人はだ。病院を出て義正の運転する車の中でだ。こう話をしていた。
まずは義正がだ。真理に話した。
「あの」
「はい」
助手席にいる真理がだ。彼の言葉に応える。
「この結果ですが」
「労咳ですね」
「どう思われていますか」
顔を前にしてだ。妻に尋ねたのである。
「あの、私は」
「義正さんは」
「力を尽くします」
そうするというのだ。彼は。
「あなたの為に」
「そうして下さいますか」
「はい、そうしていいでしょうか」
真理にだ。問うたのである。
「私の。できるだけのことを」
「すいません」
真理はだ。その義正に対してだ。
静かにだ。こう言ったのである。
そしてだ。さらにだった。義正に言うのだった。
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