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夢幻水滸伝

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第三十九話 熊本城孤立その十

「そっちのいか焼きはな」
「ないね」
「ああ、ちょっとな」
「あのいか焼きは関西のいか焼きだからね」
「こっちの世界でもな」
「あたしあのいか焼きが好きなんだけれどね」
 いささか残念そうに言う玲子だった。
「あのソースで味付けた生地がまたいいんだよ」
「それは僕も同意やけどな」
「それでもだね」
「こっちではないわ」
「本当に九州限定だね」
「そや、まあ今日は鳥邊や」
 それが肴だというのだ。
「皆で鍋囲んで飲むで」
「軍鶏だと最高じゃがどうじゃ」
 正岡はこう中里に言った。
「鶏は」
「いや、普通の鶏や」
「そっちぜよ」
「そや、それでもええな」
「それはそれでいいぜよ」
 ここでも笑って返す正岡だった。
「鶏には鶏の美味さがあるぜよ」
「軍鶏には軍鶏でやな」
「そうぜよ、軍鶏の肉は逞しいぜよ」
「喧嘩する為の鶏やからな」
「だから肉が引き締まってるぜよ」
 常に身体を動かしているからだ、人間で言うと格闘家であるのでその身体が引き締まっているのである。
「それでぜよ」
「それで自分好きやねんな、軍鶏が」
「そうぜよ」
「まあな、じゃあ今度食おうな」
 その軍鶏鍋をというのだ。
「今日は普通の鶏やけどな」
「何か最近鍋よお食うのう」
「そうじゃのう」
 井伏と山本は二人で話した。
「野菜もよおさん食えるし身体もあったまる」
「最後のおじやも絶品じゃ」
「それでじゃな」
「鍋が多いんじゃな」
「その通りや」
 中里は二人に総大将として答えた、軍の食事の最高責任者でもあるからだ。
「肉も魚も野菜も食ってや」
「それでじゃな」
「健康になれるからじゃな」
「その通りや、しかも身体があったまる」
 このこともあってというのだ、二人が話した通りに。
「それでじゃ」
「やっぱりのう」
「それでじゃな」
「ほな今夜は鳥鍋や」 
 まさにそれだというのだ。
「あとすき焼きとかしゃぶしゃぶもしよか」
「すき焼きはやっぱり関西風がいいね」
 玲子はここでも関西を押した。
「あっちのが一番美味しいよ」
「すき焼きにもこだわりがあるんやな」
「実はね」
「すき焼きはな」
 どうかとだ、中里はこう話した。
「僕も関西やな」
「そっちだね」
「西の方が好きやな」
「関東のも悪くないけれどね」
「何かちゃうねんな」
「そうそう、そばつゆだってね」
「昆布入ってないからな」
 関東のそばつゆにはだ、尚このことはこの世界でも同じであるがこの場にいる面々はまだ誰もそrちらのそばつゆは現実には味わっていない。
「それがちゃうな」
「大根のすったお汁にお醤油を入れたものですね」
 織田はその関東のそばつゆについて具体的に話した。 
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