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夢幻水滸伝

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第三十九話 熊本城孤立その九

「最後の最後まで勝ちたいならな」
「勝って兜の緒を締めろじゃな」
「そういうこっちゃ、九州を完全に降して領地として治めて完全に自分の勢力圏にしてな」
 ここまでしてというのだ。
「ようやく落ち着けるわ」
「そういうものじゃな」
「そやから気は抜いたらあかん」
「今度の戦に勝ってもやな」
「戦は政の手段やからな」
「勝って終わりやない」
「勝ち方と勝った後どないするかや」 
 むしろこうしたことの方が重要だというのだ。
「むしろな」
「それでやな」
「そや、そやからこんなとこで油断したらあかん」
「僕等は何も手に入れてないんやな」
「そういうことや、それで酒を飲んでもな」
 そうしてもというのだ。
「飲むのはええけどな」
「見張りは常にやな」
「順番で置いておくんや」
 このことは忘れるなというのだ。
「斥候も出し続けてな」
「そういうのも忘れたらあかんな」
「そういうこっちゃ、ほな今夜も飲むけど」
 まさに言った傍からだったが芥川は笑って話した。
「見張りはな」
「今言った通りにやな」
「立たせて働かせるで」
「酒を飲んでじゃのう」
 井伏は酒については実に楽しそうに話した。
「英気を養うんじゃな」
「そや、しかし自分よお飲むな」
「酒は大好きじゃ」
 やはり楽しそうに話す井伏だった。
「それでじゃ」
「そやな、うちは酒好きが揃ってるわ」
「ははは、それもいいことぜよ」 
 正岡も酒好きだ、その立場から話す。
「酒を皆で飲むのも楽しいことぜよ」
「そうした時先輩はいつも海の幸か鳥鍋ですね」
 織田は正岡が好きな肴の話をした。
「お刺身なり鰹のたたきなりそして軍鶏鍋ですね」
「そうぜよ、そしておまんは」
「はい、鯛です」
 織田は笑って話した。
「鯛が一番好きです」
「鯛は鰹と並んでよか魚ぜよ」
「牡蠣もええのう」
 山本も笑って話す。
「肴には」
「どれもいいって言いたいがね」
 玲子も肴の話に入った、やはり極めて楽しそうだ。
「あたしは蛸とか烏賊がいいね」
「自分何でもやろ」
「その中でも最近はね」
「蛸とか烏賊か」
「たこ焼きにいか焼きやね」
「それはどっちのいか焼きや」
 中里は玲子にこう問うた。
「姿焼きかそれか生地に包んで焼くか」
「どっちも好きだけれどやっぱりね」
「包む方か」
「あたし的にはそっちだね」
 そちらのいか焼きだとだ、玲子は中里に笑って話した。
「それとたこ焼きにはマヨネーズもだね」
「ソースとやな」
「その両方が欠かせないね」
 たこ焼きの話もするのであった。
「そして酒の肴にするんだよ」
「成程な、しかしな」
「九州ではだね」
「たこ焼きやそっちのいか焼きはあまりないで」
「特にいか焼きはだね」
「たこ焼きはまだあるけどな」
 それでもというのだった。 
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