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夢幻水滸伝

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第三十九話 熊本城孤立その四

「聞いてたとね」
「ああ、三日後だね」
 雪路はその純奈に笑顔で答えた。
「高城に移動だね」
「そうなったばい」
「じゃあ今は篭城たい」
「そうしようね、じゃあ三日の間に」
 篭城し続けるその間にというのだ。
「護りを万全にしておこうね」
「そうするたい」
「そうして万が一攻められても無事に撃退出来る様にしようね」
「そうとよ、しかも護りを固めているのを相手に見せればたい」
 どうなるかをだ、純奈は雪路に話した。
「最初から攻められることもなかとよ」
「それも狙いだね」
「そうとよ、じゃあいいたいな」
「護りをさらに固めようね」
「そうしておくとよ」
 こう言ってだ、純奈と雪路は熊本城の護りを城を囲んでいる関西の軍勢にこれみよがしに固めてみせた。そうしてだった。
 三日経つと熊茂呂城から純奈の移動の術で高城に移った、そうして二人も決戦の用意に入った。その決戦の用意を見てだ。
 純奈は唸ってだ、用意の采配を執る北原に言った。
「流石とよ」
「そう言うでごわすか」
「これだけ隙のない用意をしていればとよ」
「勝てるでごわす」
「勿論勝つつもりたいな」
「だから万全の備えをしているでごわす」
 こう純奈に答えた。
「おいどん達も、まずは日向での戦で勝って」
「そこから反撃に出て」
「九州全土を奪還してでごわす」
 そうしてというのだ。
「逆に本州に攻めるでごわす」
「そうするたいね」
「東海、北陸と関西を挟撃するつもりでごわしたが」
 ここで微妙な顔になった北原だった。
「それは出来ない様でごわす」
「あっちはあっちで関東、東北と睨み合ってるんだったね」 
 雪路はこのことを指摘した。
「聞いてる限りだろ」
「それが問題になっています」
 北原の隣にいる美鈴が述べてきた、その鼠の顔で。よく見ればその鼠の顔はむしろハムスターに似ている。
「我々にとっては」
「挟み撃ちに出来たらね」
「それだけ関西の勢力を分断出来るので」
「私達も楽なんだけれどね」
「関西の軍勢は先の東海との戦で美濃の西を奪いそちらの護りを固めまた北陸では北ノ庄城の護りを固めています」
「そのこともあってだね」
「はい、東海と北陸が挟撃しても」
 そうしてもというのだ。
「関西の軍勢は守り切る公算が大きかったですが」
「それに加えてだね」
「関東及び東北と睨み合っています、どうも東海と北陸は彼等と和睦を結ぶつもりの様ですが」
「そうしてまた関西に向かうんだね」
「そう考えている様ですが」
 しかしという口調で言う美鈴だった。
「流れは不透明で」
「関東、東北と和睦出来るか」
「ですから」
 それでというのだ。
「我々は今はです」
「私達だけで関西と戦っていかないといけないかも知れない」
「そう考えていきましょう」
 決戦で勝ってもというのだ。
「ここは」
「わかったよ、まだ辛い戦いが続くね」
「決戦に勝ち九州の北を奪い返しても」 
 そのうえで再び自分達が攻勢に転じてもとだ、美鈴は雪路そして純奈に話した。
「そしてです」
「若しもでごわす」 
 北原は腕を組み深刻な顔になり純奈と雪路に話した、そこには又吉もいる。 
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