夢幻水滸伝
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第三十九話 熊本城孤立その三
「それじゃあ棟梁達から声がかかるまで残るとよ」
「そうしようね」
「そして呼ばれればたい」
「日向で決戦だよ」
「そうたいな、じゃあ今からね」
二人は今天守閣の最上階にいる、そこから城の全景とその城を囲んでいる敵の軍勢を見つつ言った。四人の姿はないことも確認した。
「飯にするとよ」
「腹が減ってはだね」
「そういうことたい、丁度時間たいよ」
「じゃあ食べようね」
「そうするとよ、今日は明太子も出るとよ」
ここで笑った純奈だった。
「楽しみにしてるとよ」
「先輩明太子好きだしね」
「御飯に丁度いいとよ」
明太子についてだ、笑みを浮かべて応えた純奈だった。
「あの辛さがいいとよ」
「それはわかるけれどね」
「うちはたいな」
「ちょっと好き過ぎるね」
明太子がとだ、雪路は純奈に笑って話した。
「どうもね」
「自分でもそう思うたいが」
「九州モンはだね」
「あれに慣れ親しんでいるとよ」
だからだとだ、純奈は雪路に笑って話した。
「だから今日もたい」
「明太子だね」
「あれを食べるとよ、あとゴーヤチャンプルも出るたい」
「そっちは琉球だね」
「実はそっちも好物たい」
ゴーヤチャンプルもというのだ。
「うまかとよ、お味噌汁は麦味噌ばい」
「あっ、いいね」
麦味噌の味噌汁と聞いてだ、雪路はこれまで以上に明るい顔になった。そのうえでこう言ったのだった。
「たっぷり飲ませてもらうよ」
「兵達もたっぷり食ってもらうたい」
「いつも通りだね」
「やっぱり戦は食ってこそたい」
今は睨み合いだがそれをするのも戦だというのだ。
「だからたい」
「たっぷり食ってもらうかい」
「ふんだんにね、城の中の兵糧はたんまりあるとよ」
このことにまた言及した純奈だった。
「それでとよ」
「九州での戦が終わるまではね」
「城兵はたらふく食えるとよ」
「それじゃあ我慢とかはせずに」
「たっぷり食べて英気を養ってもらうとよ」
こう話してだ、二人は明太子とゴーヤチャンプル、そして麦味噌の味噌汁を楽しんだ。そうして籠城戦を続けていたが。
純奈は弓の鍛錬をしている時に貝殻から連絡を受けた、連絡をしてきたのは北原自身だった。
「棟梁、どうしたと」
「三日後でごわす」
まずは日から言ってきた。
「高城に来て欲しいでごわす」
「いよいよとね」
純奈は高城と聞いて目を鋭くさせた。
「決戦ばい」
「そうでごわす、わかったでごわすな」
「ああ、三日後たい」
純奈もその期日のことを出した。
「三日後そっちに移るたい」
「兵達はそのままでごわす」
「城に残ってだね」
「篭城を続けてもらうでごわす」
こう純奈に話した。
「いいでごわすな」
「わかったとよ」
純奈は北原に確かな声で答えた。
「それじゃあ三日後たい」
「高城で会うでごわす」
こう二人で話してだった、一旦貝殻での通信を切った。純奈はそのうえで雪路に対して言った。
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