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夢幻水滸伝

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第三十九話 熊本城孤立その二

「今は肥後の名物を楽しむで」
「馬刺し等をですね」
「そして肥後のラーメンもや」
「ここでもラーメンですか」
「そや、ラーメンは宇宙や」
 こうまで言う雅美だった、実は雅美の好物の一つでもあるのだ。
「そこには全てがある」
「そうした料理ですか」
「そやで、そやからな」 
 目を輝かせての言葉だった。
「ここでも食べるで」
「熊本ラーメンも豚骨やったな」
 由香はその熊本ラーメンの具体的な話もした。
「そやったな」
「九州のラーメンの殆どはそうですね」
「そや、豚骨もええもんや」
 こう部将に話した。
「そやから皆で食べような」
「では軍勢でも」
「食べるで」
 兵達もというのだ。
「そうするで」
「わかりました、ではですね」
「ラーメン食べような」
「肥後の他の名産も食べてこな」
 瑠璃子はラーメン以外の食べものの話もした。
「馬刺しなりな」
「馬刺しですね」
「そや、とはいっても軍馬は食べへんで」
 それはしないことはだ、瑠璃子は断った。
「それはわかるな」
「軍馬を食べては」
「あかんやろ」
「はい、論外です」
「そんなことはせん、けれど馬刺しも食べるで」
 肥後名物のこれもというのだ。
「まあとにかくふんだんに食べような」
「肥後の名産を」
「そうしよな」 
 こう話してだった、四人は熊本城を囲みそうして城攻めは禁じてからだった。そのうえで残る兵で肥後を南下し人吉城と薩摩との境を目指した。そのことを熊本城で聞いてだった。純奈はこの城まで率いる兵達と共に入ってきた雪路に言った。
「充分とよ」
「時間稼ぎはだね」
「そう思うたい」
 こう言うのだった。
「うちはな」
「だからだね」
「兵達はここの守りを固めさせてたい」
 そうしてというのだ。
「無茶な動きはさせない様にさせてたい」
「そうして私達は日向に移る」
「そうするとよ」
「そうだね、この城は武器も弾も兵糧も充分にあるしね」
 雪路は篭城した場合について述べた。
「しっかり守っていればね」
「一万の兵で攻め落とされることはなかとよ」
「そうだね、だからね」
「もう移るとよ」
「それには早くないかい?」
 雪路は純奈の話をここまで聞いて述べた。
「棟梁から呼ばれるまではね」
「ここに残るとよ」
「そうして時間稼ぎを続けていいんじゃないかい?」
「そう思うとね、あんたは」
「ああ、先輩の考えもいいと思うけれどね」
「そうたいな、うち等が出る素振りを見せれば」
 その時はというのだ。
「敵は警戒してそれが動きに出るとよ」
「だから時間稼ぎとしてね」
「まだこの城に残るたいね」
「そうすればいいと思うけれどね」
「わかったばい」
 純奈は雪路の言葉に頷いた。 
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