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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十一話 怪談その三

「怨霊が起こしたりとか」
「あるよ」
 それが太平記で書かれているのだ。
「あと災害とかもね」
「そうなの」
「何か色々不気味な話もあるから」
 冗談抜きでだ。
「お城でもあるし」
「お城って姫路城?」
「あと大坂城も?」
「姫路城は妖怪の話があるよ」
 姫路城についてはこの話をした。
「おさかべ姫っていう妖怪のお姫様がいるんだ」
「あっ、いるの」
「あのお城に」
「そうされてるよ、大坂城は特に聞かないけれど」 
 不思議とそうした話は利かない。
「松江城とかあはるよ」
「松江城?」
「山陰の方のお城だよ」
 まだ見たことはない、というか山陰自体言ったことがない。
「あそこは人柱の話があって」
「あっ、人を埋めるのよね」
「生贄にして」
「そのお話があったの」
「そうなの」
「こうしたことって世界中にあると思うけれど」
 生贄の風習はだ、忌まわしいことに今もあるだろうか。
「日本にもあって」
「そのお城にもなの」
「あるのね」
「埋められた人は領民の娘さんか旅のお坊さんかね」
 犠牲になった人は誰かというと。
「はっきりしないけれどね」
「祟りはあるの」
「そう言われてるの」
「そうなんだ、その時の家が三代で絶えたんだ」
 歴代の当主がどんどん死んでいってだ。
「それでそう言われてるんだ」
「人柱の人の怨念だって」
「そう言われてるの」
「四国の方にもこうした話があるんだ」
 人柱の祟りがだ。
「橋とかにもあったり」
「結構あるのね」
「そうしたお話が」
「始皇帝のお墓にもあった話だけれどね」
 驪山領では沢山の技術者や後宮の人がお墓の秘密や始皇帝への殉死として犠牲になったと史記ではある。
「それより昔の中国にもあったし」
「生贄っていったら」
 モンセラさんはここでこんなことを言った。
「インカとかアステカとか」
「こっちの話よね」
 ニキータさんもモンセラさんに応えて言う。
「中南米よね」
「そうよね」
「まあ血のつながりは薄いけれど」
「一応こっちのルーツよね」
「こっちというか」
 僕は中南米生まれの二人に返した。
「あまり縁ないみたいな言い方だね」
「だって宗教とか全部違って」
「何もかもがね」
「名前見てもわかるし」
「ラテン系の名前だから」
「そうだね、喋ってる言葉も違うし」
 このことからしてだ。
「スペイン語だよね」
「こっちはポルトガル語よ」
 モンセラさんはブラジル人として僕に答えた。
「そこ覚えておいてね」
「そうだったね、大体同じだけれど」
「方言位の違いだけれどね」
「言葉が違うのは確かだったね」
「やり取りは普通に出来るけれどね」
 それでも厳密に言うと違う、中南米全体では言葉の壁は非常に緩い。だからベネズエラ生まれの野球選手はキューバやメキシコにも行ってプレイ出来るしサッカーだったら尚更のことだ。 
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