夢幻水滸伝
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第三十八話 豊後の拠点その十四
「美味いな」
「その柔らかい麺での鍋焼きうどんか」
「それ食うで、鶏肉も椎茸も野菜もかなり入ってるわ」
「それもううどんすきやろ」
「そうかもな、けど栄養はある」
「それで力つけてか」
「戦頑張るんや」
そうするというのだ。
「ほんま腹が減ってはや」
「戦も出来んな」
「このことは言うまでもないやろ」
「ああ、腹が減ってたら何も出来んわ」
まさにとだ、中里も答えた。
「戦どころかな」
「そやからや」
「ちゃんと食うねんな」
「僕等も兵達な」
つまり軍勢の全ての者がというのだ。
「全員鍋焼きうどんを食ってな」
「体力付けてやな」
「戦をするで」
「ほんままずは食うことやな」
「さもないとどうしようもないしな」
「まずは食いものと銭か」
「この二つがないと戦なんて出来ん」
到底という返事だった、芥川のそれは。
「銭がないと武具も何も用意出来んしな」
「うちはそれ位の銭がある」
「太宰が内政して中原と正岡が貿易に励んでな」
この二つのことがあってというのだ。
「それでや」
「うちは銭があるな」
「そしてその銭で武具を調達する、勿論飯もな」
「何でも銭やな」
「こっちの世界でもな、鍋焼きうどんも食材買って鍋もや」
うどんも具も茹でるそれもというのだ。
「銭がないと買えんやろ」
「その通りやな」
「その銭もあるからや」
「戦も出来るな」
「そや、銭がないと戦も出来ん」
「そして戦が出来んとな」
「敵が来ても降伏するしかない」
戦うことが出来ないからだ、芥川はこうしたことも言うのだった。この世界では彼等の本来の世界以上にそうなのだ。
「そやからな」
「まずは銭やな」
「そうや、それと食いものや」
「その二つあっての戦か」
「そっから知恵や」
この二つの後でというのだ。
「勇気とか強さはその後でええわ」
「強い軍よりも食いものと銭か」
「そういうことや、ほなな」
「これから鍋焼きうどんを食って」
「府内城を拠点にして」
「日向や」
決戦の地に入るというのだ、そしてだった。
豊後を掌握にかかった彼等は九州の勢力の肥後の拠点であり九州一の堅城である熊本城を孤立させた、これもまた戦のうちの一つだった。
第三十八話 完
2017・10・16
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