夢幻水滸伝
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第三十八話 豊後の拠点その七
「僕は策とか軍勢の動きを考えるけどな」
「実際に決めて動かすのは僕やな」
「そや」
中里自身にも言う。
「そうなる」
「やっぱりそやな」
「軍師は考えて提案する」
「決めて動かすのは大将」
「そうなってるからな」
「だからやな」
「自分にはそれを頼むで」
是非にというのだ。
「ええな」
「全軍を指揮してやな」
「そや」
まさにというのだ。
「そこも頼むで」
「よおわかったわ」
「後な」
ここでまた言った芥川だった。
「決戦近いけど無理せんことや」
「兵の英気も養うことやな」
「美味いもんもよおさん食ってや」
そうしてというのだ。
「酒も飲ませてな」
「これまで通りにやな」
「軍も美味いものをたらふく食わんとや」
「士気が落ちるな」
「間違っても餓えることになったらあかん」
それは絶対にというのだ。
「それだけはな」
「そやな、餓えてる軍とかどうにもならんな」
「それで負けた軍勢も多いし人間餓えてたら何するかわからん」
「もうあちこちで略奪したりしてか」
「民もえらい目に遭う」
その例として中里達の世界ではサッコ=ディ=ローマがある。神聖ローマ帝国の傭兵達が餓えの中進軍を続けようやくローマに入った時に完全に理性を失い略奪と破壊と虐殺の限りを尽くしたのだ。その結果多くのルネサンス期の芸術作品も失われた。
「そやからな」
「絶対にやな」
「それはあかん」
「そやから補給はしっかりしておくことやな」
「若し補給が万全でないとや」
その場合はというのだ。
「最初から戦争せん方がええ」
「それ位のものやな」
「そや」
まさにというのだ。
「戦をする以前の問題や」
「そういうことやな」
「そやから僕はいつも補給を念頭に置いてる」
軍師としてそうしたことまで考えているというのだ。
「その資金のこともな、まあその二つは太宰がかなりやってくれてるからな」
「あいつの存在戦でも大きいな」
「そうしたことはあいつや」
何といってもというのだ。
「僕が考えたことを確実にやってくれる」
「政としてやな」
「それを中原や夏目も補佐してくれるしな」
「余計にええな」
「そや、うちは人材が揃ってるけどな」
「補給とかもやな」
「大丈夫や、瀬戸内の海からものはどんどん来る」
府内城にもというのだ。
「それを使って慎重にな」
「日向に入ってやな」
「決戦や、鉄砲もどんどん来るしな」
関西の軍勢の足軽達の主力となっている武器だ、今や長槍や弓矢よりも多い位にまでなっている。
「マスケット銃がな」
「火縄銃でなくてやな」
「それがさらに変わってくけどな」
芥川は銃の進化の話もした。
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