夢幻水滸伝
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第三十八話 豊後の拠点その六
「そこからは何故かロシアやインドにばっかり出てる」
「日本には出ん様になったか」
「不思議なことにな」
「そこ確かに不思議やな」
「何でかな」
こうも言う芥川だった。
「急に出て来てそしてな」
「急に消えてやな」
「そんな風やしな」
「この世界におる連中やないかもな」
「それは僕も太宰も思ってる」
巨人達が実はこの世界の住人ではない可能性はだ。
「煙みたいに出て来てな」
「煙みたいに消えるんやな」
「徹底的に暴れな、それやったらな」
「どっか他の世界におってか」
「こっちの世界にちょっかいをかけてるんちゃうかってな」
「考えてるんやな」
「僕等もな、それでその巨人も最近は出てへんし」
災害と言うべき彼等が出ないこともあってというのだ。
「どんどん内政してくで」
「わかったわ」
中里も芥川のその言葉に頷いた、そしてだった。
中里は府内城に兵を進めていっていた、関西の軍勢は進撃は速くそれでだった。府内城の傍までもすぐに着いた。
その府内城を見てだ。中里はこんなことを言った。
「あの城に入ってか」
「そや、物資をどんどん入れてな」
「そうしてやな」
「あそこを拠点にしてくからな」
「そしていよいよやな」
「日向での決戦や、それで日向にはな」
この国にとだ、芥川は中里に話した。
「出陣前に斥候をよおさん出すで」
「陸にも空にもやな」
「そうする、そしてや」
斥候を多く出してというのだ。
「敵の状況はよく把握してく」
「それが常道やな」
「さもないとや」
斥候を出さず敵の状況を把握していなければというのだ。
「えらいことになるで」
「ほんまに奇襲受けるな」
「伏兵がおってもな」
九州の軍勢がそれを配していてもというのだ。
「よく見ておけばや」
「見破ることが出来るな」
「そや、それでや」
このこともあってというのだ。
「斥候は多く出す」
「大友家みたいに巻けん為にか」
「大友家は伏兵で負けた」
耳川の戦いでだ、島津家が忍ばせていた彼等によって散々に打ち破られてそうして家の勢い自体も大きく傾いたのだ。
「そうなったからな」
「それでやな」
「こっちはや」
絶対にというのだ。
「斥候を多く出してな」
「敵の状況を探るか」
「忍もよおさん出す」
芥川は彼等もと話した。
「僕の手勢もな」
「そこはいつも通りやな」
「そうしてや」
そのうえでというのだ。
「敵の状況はじっくりわかっておく、そしてな」
「どう戦うかやな」
「それも決める」
「それで斥候を出してくか」
「よおさんな、既に戦術は幾つか考えてるけど」
それと共にというのだ。
「斥候も出してや」
「そしてか」
「もっと練ってく」
戦術、それをというのだ。
「そうしてくで」
「それもわかったわ、そして実際の指揮はやな」
「自分が執るんや」
総大将である中里がというのだ。
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