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儚き想い、されど永遠の想い

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243部分:第十八話 相互訪問その十


第十八話 相互訪問その十

「それは文化ですね」
「文化といいますと」
「やはり一番落ち着くのは」
 それが何かというとだった。
「日本ですね」
「はい、どうしても」
「それです」
「それ?」
「はい、文化です」
 また真理に話したのだった。
「それこそがです」
「日本の中に落ち着き。それだからこそ」
「日本文化ですか」
「そうです。日本人はやはり」
「文化の中に落ち着くのですね」
「その通りです」
 真理に対して微笑んで話した。
「そういうものだと思います」
「左様ですか」
「そしてです」
 ここでまただった。義正は。
 真理の顔を見てだ。こうも話した。
「食事もまた文化です」
「だからですね」
「そうです。やはり食べるものもまた」
「日本のものが」
「最も馴染みます」
 そうなるというのだ。
「そういうものではないでしょうか」
「日本人には日本文化」
「おそらく西洋人も同じです」
「日本文化は馴染みませんか」
「だからこそです。父は」
 義正は部屋の中だけでなく窓の向こうの庭も見回してだ。そのうえでだ。
 真理も見て。それで話した。
「こうしてです」
「洋館の中に和室を造られたのですね」
「祖父も。和室こそ造りませんでしたが」
「それでもですか」
「着ていたのは和服でした」
 それだったというのだ。
「常に」
「そうでしたか。和服だったのですね」
「飲む酒は日本酒で」
 酒はそれで、だった。
「菊を愛していました」
「菊ですか」
「他には桜も」
 日本を象徴するだ。その花もだというのだ。
「愛し。和食を好んでいました」
「洋館の中の日本ですね」
「洋館に住んでいても愛していたのは日本でした」
 豪奢な、文明開化の象徴の中でだ。日本を愛していたというのだ。
「洋服を着ていてもです」
「それでも和服ですか」
「はい、和服です」
 その方が多かったというのだ。
「そうでなければ落ち着かないとも言っていました」
「成程。それでは」
「白杜家はどうでしょうか」
 義正はここで真理の家はどうかを訪ねた。
「やはり西洋でしょうか」
「私の家も洋館ですし」
「それでもですね」
「父も母も」
 どうかというのだ。真理のその両親は。
「いつも和服です」
「日本ですね」
「御風呂もです」
 次は風呂場の話だった。
 
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