儚き想い、されど永遠の想い
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242部分:第十八話 相互訪問その九
第十八話 相互訪問その九
真理に対してだ。こう言ったのである。
「真理さんもまた。この家の娘ですから」
「義正さんと共にいるから」
「だからです」
微笑みだ。真理に話す。
「遠慮されずに」
「義正さんと共にですね」
「食事にしましょう」
微笑みをそのままにして。真理に話す。
「シェフに言えばです」
「私達で」
「そして場所は」
義正は自分のペースで話を進めた。ここはだ。
「面白い場所がありまして」
「面白いとは?」
「この屋敷は基本的に洋館です」
しかしだ。その中でもだというのだ。
「ですが和室もありまして」
「和室もですか」
「そうです。そこで二人で」
「御昼をですね」
「和室で。和食を」
その組み合わせだった。和室で和食をというのだ。
「そうされますか。そこでも」
「そこでも?」
「面白い趣向がありますから」
だからだとだ。真理を誘うというのだ。
「そうされますか」
「御誘いでしたら」
愛する夫の誘いならばと。真理も応えた。
そしてその返答は。こうしたものだった。
「そうさせてもらいます」
「有り難うございます。それでは」
「その部屋で」
「食事にしましょう」
こうしてだった。次は。
二人で和室に入り卓、黒檀のその見事な卓と畳、それに座布団の上に向かい合って座りだ。食事を待つ。その中でだった。
真理は周囲を見る。そこは。
周りがよく見えた。入り口から入って三方がだ。硝子張りだった。
それで周りがよく見えた。その周りは。
「お庭ですよね」
「はい。ここもまた」
そうだとだ。義正は答える。
「我が家の庭です」
「ここでは薔薇ではないのですね」
「そうです。紫陽花等です」
それにだった。他にあるものは。
「それに皐です」
「日本ですね」
「庭で。ここはです」
「和風にされたのですか」
「ここは父が考えたものです」
義正の父、即ち八条家の今の主がだ。考えたものだというのだ。
「洋風もいいが。和風もと考え」
「そうしてこうした場所にされたのですか」
「そうです。洋風だけに留まらず」
そのうえでだというのだ。
「和風もです」
「設けられたのでしょうか」
「如何でしょうか」
義正は真理にあらためて尋ねた。
「ここは」
「はい。日本は」
彼女達の祖国。そこはだというのだ。
「落ち着きます」
「そうですね。和風は」
「はい、とても」
また言う彼女だった。
「ここにこうしているだけで」
「だからです」
「文化ですね」
「文化?」
「はい、文化です」
義正はここでこう真理に話した。
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